小学校近くの車通りの多い交差点に、交通ボランティアの佐藤さんが、毎日登下校の時間に立ってくれています。
佐藤さん。定年されてから、もう10年以上、雪の日も、嵐の日も、一日もかかさず、登下校の時間に立ってくれています。
そのお陰で、子ども達の事故はゼロ。
有難いことです。
佐藤さんの素晴らしいところは、それだけじゃない。
私も役員仕事で、一緒に立ったことがあったが、子ども全員の名前と顔を覚えていて、何時に通るか、誰と一緒に行ってるのかを、全て把握している。
だから、子どもの変化にすぐ気づく。
あの子は今、友達とうまくいってないみたいなんだ。
あの子、最近遅くなってきてるな。夜遅いのかな。
あの子、今日顔色悪いな。
仲間外れにされて、1人ぼっちの子と一緒に帰り、さり気なく他の友達に繋ぐ。
寄り道して、なかなか進まない一年生を家まで送る。
転んで怪我した子を家まで送る。
そんな佐藤さんが、今年お辞めになった。
久しぶりにお会いした時に、お話しを聞いた。
いやね。もう、私みたいなものは、迷惑かけるから。
何でも、一部の保護者達からクレームが入ったらしい。
佐藤さんには、町内会より、新一年生の名前、住んでいる場所の地図が渡されている。それは、何年も子ども達に貢献してくれている佐藤さんだから。
ただ、個人情報保護の時代。
うちの子に変な事しないとも、言い切れない。住んでいる場所まで、教える必要はない。
と保護達からクレームが入るようになり、佐藤さんには一切情報は渡さないようになった。
いやー。子ども達を守ってるつもりが、私の方が怖かったんだね。あはは。
時代だからね。
それでも、佐藤さんに感謝している人は沢山いて、最終日には、在校生はもちろん、卒業生の親まで、沢山の人で溢れかえった。
寂しいね。
こうして、子ども達は、どんどん大人と接する機会が少なくなる。
自分の事を可愛がってくれる親しい大人だけに囲まれる。
上の子が大きくなって思う。
習い事や勉強、色々したけど、最後に残るのは躾だ。
躾は裏切らない。
大きな声で挨拶できるか。
宜しくお願いします。有難うございます。
が、すぐに言えるか。
自分の思っている事を、ちゃんとまとめて言葉に出来るか。
親が教えるのには、限界がある。
近所の人。
この絶妙な、近すぎない、ちょっと恥ずかしい距離感の人達こそが、子ども達にとっていい勉強になるんだけどなー。
うーん。残念です。