剣道はとかく事故の起こりやすいスポーツである。事故=つまりまぐれで勝ってしまう事。
だから強い選手は未知の相手と戦うときは慎重に慎重に試合をすすめ、
弱い選手はそれで勘違いをする。
私は後者の方だったのかもしれない。
剣道で日本一になる
本気でそう思って剣道に臨んだ。
自分には才能があると勘違いしていた。
2度目に出た大会では、新入生の部で優勝し、
3度目の大会では新入生の部を勝ち抜き
準決勝で年下とはいえ剣道歴5年の相手から小手を取った。
剣道を始めて1年。
自分で自分の才能を信じていた。
しかし中学になった時、剣道部がなかった。
これはゆゆしき問題であった。
それでも学校の方針で何かしらの部活に入らなくてはいけなかった。
サッカー部に収まった私だが、部活があっても道場の稽古がある日は急いで帰り、
休む間もなく防具を担いで稽古に向かった。
何やってるんだろ・・・そうつぶやいた私を母が心配したこともあった。
しかしそんな中、「事故」が起きてしまう。
私は剣道を始めて1年、弱い自分がここまでで既に十分勘違いしているのだ。
ある日、たまたま稽古でやった紅白戦で、
私よりも何年も長く続けている物の同じ1年のSに引き面で勝ってしまった。
私は強いのだと、たまたま起きただけのジャイアントキリングで勘違いをしたのだ。
その後、あんな事もあった。
ある日、部外からある先生が出稽古に来た。
見た感じ30代半ば、今の私と同じくらいの歳だろうか。
そんな先生に必死にかかっても一本も取れなかった。
完全に思い上がりから、焦っていた。
1本取れない事にではない、「こんな程度の人に1本も取れない様じゃ先が思いやられる」
こんな焦りだ。
しかし、盲信していた。自分は日本一になれると。
そして迎える中二の春の大会。
私は再びSと試合で相見える事になるのだが・・・。
