プラネテス
プラネテス (モーニングKC) 幸村誠
- プラネテス (1) (モーニングKC (735))/幸村 誠
- ¥680
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[内容(Wikipediaより引用)]
時代は2070年代。人類は宇宙開発を進め、月面での採掘など、資源開発が商業規模で行われている。
火星には実験居住施設もあり、木星・土星への有人探査計画も進んでいる。毎日、地上と宇宙とを結ぶ高々度旅客機は軌道上と宇宙とを往復し、宇宙ステーションや月面には多くの人たちが生活し、様々な仕事をしている。
しかし、長い宇宙開発の歴史の影で生まれたスペースデブリ(宇宙空間のゴミ。廃棄された人工衛星や、ロケットの残骸など)は軌道上にあふれ、実際にたびたび旅客機と衝突事故を起こすなど、社会問題となっていた。
また、地上の貧困・紛争問題は未解決のままで、宇宙開発の恩恵は、先進各国の独占状態にある。このため貧困による僻みや思想的な理由付けによるテロの問題も、また未解決である。
主人公のハチマキは宇宙のゴミ「デブリ」の回収屋。いつか自分個人の宇宙船を所有することを夢みている。ゴミ拾いは大事な仕事だと自分を納得させつつ、当初の夢と現実の狭間でこのまま現実を受け入れるか、それとも夢を追い求めるか思い悩む。
[感想]
非常に考えさせられることの多い作品でした。
この作品を語るにあたり、作中のセリフをいくつか引用します。
ネタバレとなるかもしれませんので、ご注意ください。
この作品はNHKでアニメ化されていたため、知っている方も多いかも知れません。
私もアニメから入って、マンガを買ってみたのですが、初めてマンガの方を読んだ時にすごく違和感を感じました。エピソードや全体のストーリーは、同じものを使っているのに、そこから感じる雰囲気があまりにも違ったからです。
アニメの方は、宇宙という舞台で生きる人たちを派手ではないながらエンターテイメントとして描いているのに対し、マンガの方はむしろ文学といった雰囲気を強く感じさせられました。
宇宙に出てなお、尽きることの無い人間達の欲求。その強欲こそが、人を先に先に進ませる。
しかし、宇宙という未知の環境に人が適応するには、技術の進歩が早過ぎた。
宇宙の先へと進む人たちの中で、地球への郷愁を強くする人、適応できずに立ち止まる人、立ち止まることに恐怖し先に進むしかなくなる人。
そんななか、主人公のハチマキこと星野 八郎太も宇宙に強く憧れる青年だった。
彼は”いつか自分の宇宙船を手に入れる”という夢を持ち、自分のすべてをその夢に捧げる決意をする。
話は変わるが、この作品の影の主役(私の独断だが)としてロックスミスという男がいる。
彼もまた宇宙に魅せられ、自分のワガママを繕うことのない”悪魔のような男”。
彼は自らを”宇宙船以外なにひとつ愛せないという逸材”と評す。
ハチマキは彼と出会い、その生き方に魅かれる。自分も宇宙船を手に入れること以外はすべてをやめよう、と。
そんな中ストーリーは全編通して、ハチマキの苦悩を描いていく。
「独りで生きて! 独りで死ぬんだ!!」
「便利な言葉だなァ オイ。 根性無しも能無しも卑怯者も”愛”って唱えりゃ許されるもんなァ!!」
これが、ひどく胸に刺さる。各エピソードの中で救いはあるものの、読んでいて辛くなる。
しかし、悩み苦しんだ中でハチマキはロックスミスとは違う答えを見つけ出す。
「(宇宙船を手に入れるため)オレはそれ以外のことはいっさいしないと決めた」
「それ以外のことを考えるのもやめようと思った。」
「でも」
「でも 愛し合うことだけが どうしてもやめられない。」
この言葉を受け、
同じく宇宙に魅せられ先を行くハチマキの父は、その言葉の深さをすでに経験している。
弟は、まだその言葉の意味を理解できていない。
母は、自然体でその言葉を受け止める。
ロックスミスは背を向ける。
デブリ回収の仲間たちは、同じ目線でハチマキの帰りを待っている。
そして表情を見せないまま、ロックスミスがつぶやく、
「・・・気安く愛を口にするんじゃねぇ」
このラストシーンは秀逸でした。各キャラクターの表情を微妙に、しかし確実に描き分けて。
このシーンの素晴らしさは、私の駄文では伝わらないのが、歯がゆいです。
すべてのメッセージが詰まったラストシーンでした。
是非、一読をお薦めします。