2008-11-30
うまい具合に出張が入ったので、0系新幹線に乗ってきました。平日の深夜の便だったのですが、車内はほぼ満席。出張帰りのサラリーマン姿が多かったのですが、なぜかカメラを携帯。さらに驚いたのは、鉄子(女性の鉄道ファン)の多さ。途中駅ではホームに三脚の列。最終駅では、ホームは人だかり、駅員に警備員に警察官と、まさにお祭り状態。ま、そのお祭り状態を引き起こしている原因の一端を、なかむらも担ってきたわけですが。。。
さて、11月に、「図解・世界が驚嘆する日本のモノづくり」という文庫本を監修者として出しました。定価630円です。調査研究やテレビの取材などでご協力いただいた企業さんも含め、さまざまな企業のものづくりを紹介させていただいております。お近くの書店もしくは、ネットでお買い求めください。
詳しくは⇒こちらまで
ものづくりは、なぜ遠い存在になったのか
中村ゼミの4年生のほとんど、6名が製造業に就職する。在籍する大学のゼミでは異例の多さで、回りからも「なぜ」とよく尋ねられる。その前もそうだったし、今年の3年生も製造業希望が多い。
大学の就職指導部や就職活動支援会社に聞くと、合同説明会などを開催しても、「~工作所」とか、「~工業」という名前、つまり製造業は人気がなく、「正直言って、大人の立場からすると、こんな会社はなあ~(笑)と思うような企業でもカタカナだったり、サービス業だったりすると、沢山来るんですよねえ」という状況らしい。つい、先週も京都の企業合同説明会に行ってきたゼミ生が、「XXXが会場入ってすぐのところにあって、結構、本命なので、ラッキーと思ったんですが、他は一杯なのにガラガラなんですよ」とにんまり笑って帰ってきた。そのXXXという会社は、その業界では結構有名だし、大企業の部類に入る方なのだが、後で、周りの学生にそれ
となく話を振っても、知らない者がほとんどだったらしい。
今年、ある上場している製造業企業に内定を採ったA君は、苦笑いをしながら、次のような話をしてくれた。久々にあった同級生たちに会うと、決まって「お前はどこに就職するんだ」という話題になる。A君が、内定した企業の名前を言うと、決まって同情するような表情をして同級生が「大変だよなあ、製造業は、よく行くよなあ」と言うのだそうだ。「でもねえ、いちいち、説明するのもめんどくさいし、じゃあ、お前はと聞くと、名ばかり管理職問題で名前が出ていたサービス業企業だったり、大量に採用して、大量に退職するので有名な流通企業だったりなんですよ。」なぜか、
製造業=労働環境劣悪=よくない企業という「負のイメージ」が定着しているのだ。
少し視点を変えると、産業観光といって製造業の工場を見て廻るということが「観光」になる時点で、一般の人たちの生活から、製造業が遠い存在になってしまっているのだ。いつの間にか、ものづくりは多くの人にとって遠いところで、誰か知らない人がしているものになってしまっているのではないだろうか。
考えてみれば、私の子供の頃ですら、例えば近所に木工工場があり、夏休み、カブトムシを飼うために、カンナ屑をもらいに行ったものだった。今、大半の子供たちにとっては、カブトムシのための木屑は、ホームセンターか量販店で買ってくるものだろう。
学生たちが、製造業企業に関心を持たないのは、「嫌い」だからではなくて、「知らない」からなのだということを、ここ数年、学生たちに接して、理解できてきた。もちろん、うちは経済学部でばりばり文系なのだが、工場見学をしたり、経営者の皆さんの話を聞いたりする中で、「どうせ営業するなら、こういう工場で作られたものが売りたいですよね」とか、「総務とか経理でもいいから、製造業の一角で働きたい」などと言い出すのだ。(「洗脳が聞いた」と笑う経営者もいますが・・・笑)
工場見学や、その情報が人気になったり、観光産業の一端として「産業観光」が取り上げられたりするのは、私の仕事的にはうれしいことなのだけれど、一方で、どんどん「ものづくり」が遠くなってしまっているのは、どうなのだろうと少し複雑に思う気持ちもある。
一般の人たちから、ものづくりが遠くなった理由はいろいろあるだろう。住宅地と工場の混在が、工業団地の整備などで解消されていったこと。生産設備の機械化によって、見学なども安全管理上できなくなっていること。以前よりも、安全性や責任問題などが厳しく指摘されるようになり、かつてのように製造現場に簡単に出入りでいなくなったということもあるだろう。身近なものの海外生産が増加し、国内で製造されなくなったことも大きい理由の一つだろう。そして、技術の高度化により、仮に工場を見ても、どういう工程で何をしているのかも理解できなくなっていることも指摘できるだろう。
なにより、今回の不景気で、連日、「製造業企業また解雇」なんて記事が載ると、またぞろ若者の製造業に対する見方が悪くなるのでは、などとも思ったりする。
今回の不景気は、全治2年とも3年とも言われるが、有史始まって以来、雨がやまなかったことはない。いずれは景気も回復するだろう。その時に、必ず必要なのは、優秀な若い人材である。ものづくりがどんどん遠い存在になってしまった上に、景気悪化が引き金になって、またぞろ悪いイメージが定着してしまったのでは、いざという時に人材が集まらなくなってしまう。
厳しい状況下だからこそ、ものづくりに日々いそしんでいらっしゃるみなさんこそが、情報発信をして、その素晴らしさ、MADE IN JAPANの魅力を多くの人に知らしめていただければなあと思う、今日この頃なのです。
うまい具合に出張が入ったので、0系新幹線に乗ってきました。平日の深夜の便だったのですが、車内はほぼ満席。出張帰りのサラリーマン姿が多かったのですが、なぜかカメラを携帯。さらに驚いたのは、鉄子(女性の鉄道ファン)の多さ。途中駅ではホームに三脚の列。最終駅では、ホームは人だかり、駅員に警備員に警察官と、まさにお祭り状態。ま、そのお祭り状態を引き起こしている原因の一端を、なかむらも担ってきたわけですが。。。
さて、11月に、「図解・世界が驚嘆する日本のモノづくり」という文庫本を監修者として出しました。定価630円です。調査研究やテレビの取材などでご協力いただいた企業さんも含め、さまざまな企業のものづくりを紹介させていただいております。お近くの書店もしくは、ネットでお買い求めください。
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ものづくりは、なぜ遠い存在になったのか
中村ゼミの4年生のほとんど、6名が製造業に就職する。在籍する大学のゼミでは異例の多さで、回りからも「なぜ」とよく尋ねられる。その前もそうだったし、今年の3年生も製造業希望が多い。
大学の就職指導部や就職活動支援会社に聞くと、合同説明会などを開催しても、「~工作所」とか、「~工業」という名前、つまり製造業は人気がなく、「正直言って、大人の立場からすると、こんな会社はなあ~(笑)と思うような企業でもカタカナだったり、サービス業だったりすると、沢山来るんですよねえ」という状況らしい。つい、先週も京都の企業合同説明会に行ってきたゼミ生が、「XXXが会場入ってすぐのところにあって、結構、本命なので、ラッキーと思ったんですが、他は一杯なのにガラガラなんですよ」とにんまり笑って帰ってきた。そのXXXという会社は、その業界では結構有名だし、大企業の部類に入る方なのだが、後で、周りの学生にそれ
となく話を振っても、知らない者がほとんどだったらしい。
今年、ある上場している製造業企業に内定を採ったA君は、苦笑いをしながら、次のような話をしてくれた。久々にあった同級生たちに会うと、決まって「お前はどこに就職するんだ」という話題になる。A君が、内定した企業の名前を言うと、決まって同情するような表情をして同級生が「大変だよなあ、製造業は、よく行くよなあ」と言うのだそうだ。「でもねえ、いちいち、説明するのもめんどくさいし、じゃあ、お前はと聞くと、名ばかり管理職問題で名前が出ていたサービス業企業だったり、大量に採用して、大量に退職するので有名な流通企業だったりなんですよ。」なぜか、
製造業=労働環境劣悪=よくない企業という「負のイメージ」が定着しているのだ。
少し視点を変えると、産業観光といって製造業の工場を見て廻るということが「観光」になる時点で、一般の人たちの生活から、製造業が遠い存在になってしまっているのだ。いつの間にか、ものづくりは多くの人にとって遠いところで、誰か知らない人がしているものになってしまっているのではないだろうか。
考えてみれば、私の子供の頃ですら、例えば近所に木工工場があり、夏休み、カブトムシを飼うために、カンナ屑をもらいに行ったものだった。今、大半の子供たちにとっては、カブトムシのための木屑は、ホームセンターか量販店で買ってくるものだろう。
学生たちが、製造業企業に関心を持たないのは、「嫌い」だからではなくて、「知らない」からなのだということを、ここ数年、学生たちに接して、理解できてきた。もちろん、うちは経済学部でばりばり文系なのだが、工場見学をしたり、経営者の皆さんの話を聞いたりする中で、「どうせ営業するなら、こういう工場で作られたものが売りたいですよね」とか、「総務とか経理でもいいから、製造業の一角で働きたい」などと言い出すのだ。(「洗脳が聞いた」と笑う経営者もいますが・・・笑)
工場見学や、その情報が人気になったり、観光産業の一端として「産業観光」が取り上げられたりするのは、私の仕事的にはうれしいことなのだけれど、一方で、どんどん「ものづくり」が遠くなってしまっているのは、どうなのだろうと少し複雑に思う気持ちもある。
一般の人たちから、ものづくりが遠くなった理由はいろいろあるだろう。住宅地と工場の混在が、工業団地の整備などで解消されていったこと。生産設備の機械化によって、見学なども安全管理上できなくなっていること。以前よりも、安全性や責任問題などが厳しく指摘されるようになり、かつてのように製造現場に簡単に出入りでいなくなったということもあるだろう。身近なものの海外生産が増加し、国内で製造されなくなったことも大きい理由の一つだろう。そして、技術の高度化により、仮に工場を見ても、どういう工程で何をしているのかも理解できなくなっていることも指摘できるだろう。
なにより、今回の不景気で、連日、「製造業企業また解雇」なんて記事が載ると、またぞろ若者の製造業に対する見方が悪くなるのでは、などとも思ったりする。
今回の不景気は、全治2年とも3年とも言われるが、有史始まって以来、雨がやまなかったことはない。いずれは景気も回復するだろう。その時に、必ず必要なのは、優秀な若い人材である。ものづくりがどんどん遠い存在になってしまった上に、景気悪化が引き金になって、またぞろ悪いイメージが定着してしまったのでは、いざという時に人材が集まらなくなってしまう。
厳しい状況下だからこそ、ものづくりに日々いそしんでいらっしゃるみなさんこそが、情報発信をして、その素晴らしさ、MADE IN JAPANの魅力を多くの人に知らしめていただければなあと思う、今日この頃なのです。