2008-3-31

 25日に尼崎市商工会議所主催の元気企業会がありました。地元尼崎をはじめ、堺、東大阪、大津、そして墨田、太田などの企業、行政、商工会議所が集まり、事例発表会と交流会が開催されました。こういう会合に出ますと、「へえ、こんなモノを作っている企業が」と驚いたり、以前、お会いしたことのあるみなさんとお会いできて、近況の交換ができたり、なかなか充実した一日でした。
 それから、4月5日にまた読売テレビ系『世界一受けたい授業SP』で、工場見学をやります。今回ではや10回目。もしお時間がありましたら、ご覧くださいませ。

中村智彦

 88回目という福福しい回にふさわしく ~ 「おもしろおかしく村おこし」の現場に行ってきた

 桜前線もそろそろ登場というある日。福岡から電車に乗り、唐津の町に降り立ちました。海に突き出した丘の上に立つ唐津城から眺める玄界灘の風景は、なかなかものであります。唐津城から海を眺めると北正面に、ちょうどおわんを伏せたような、台形の島が見えます。激しく吹きつける北風と、激しい波が唐津に激突するのを防ぐ天然の防波堤のような位置にその島はあります。名前を高島。周囲約3キロ。人口約400人。唐津市の沖合い3キロにある小さな漁村の島です。

 唐津城を降りて、駐車場などが整備されている小さな港から、その島への渡船が出ています。渡船と言っても百名ほどが乗船できるなかなか立派な船です。島までは片道10分。大人ひとり200円です。島に住む人たちの生活路で、一日6便、漁協組合によって運航されています。
 さて、暖かな週末。船が唐津の渡し場に着くと、驚いたことにぞろぞろと多くの観光客が降りてきます。手にはなにやら黄色っぽい紙袋を持ち、一様ににここにこ笑っております。島まで10分。200円。ものくに研究員として、行ってみなければと早速乗船であります。やはり船は満席。穏やかな唐津湾をかろやかに船は進みます。船内アナウンスは、ちゃんと英語もあります。
 一周3キロの小さな島に着きます。静かな漁村という風情。が、ちょっと違うのは、港に掲げられた看板・・・・『宝当神社』。なにせ渡船の唐津側の乗り場も、ずばり「宝当桟橋」なんですから。

 小さな島の小さな神社が話題になったのは、この十年ほどのこと。もちろん神社そのものは創建400年の歴史があるのです。でもね 笑はっきりいうと村の鎮守という風情でございます。

 神社に行ってしまう前に説明をしなくてはなりません。桟橋に船が着きますと、小さな漁村にいくつか売店があるのが見えます。そもそも雑貨屋さんだったのかなあとか、船着場の待合所だったのかなあとか言う風情のもあれば、新しく作ったのもありますが、どこも黄色とか金色とかありがたい色で埋め尽くされています。ご丁寧に宝くじ売り場まであります。そこらに書かれている説明に従うと、まず宝くじを購入し、売店で宝当袋を購入、それに宝くじを納めて、神社に向かい参拝をすれば、ぴたりと当る!!
 神社にはこれで当りましたという御礼のお手紙やら写真やらばたくさん張られていて、その霊験あらたかさが証明(?)されているのです。
 で、無事参拝を済ませると・・・・次の渡船まで2時間・・・はっきりいってすることがない 笑
地図を見ると島の外周に道があるので、勇躍、一周散歩に出発したわけです。歩いてみて判ったのは、北側が荒々しい日本海で、島は断崖絶壁になっているのです。南側に吹き寄せられた砂が平地を作り、そこに村が形成されている。北側に廻ると、波の音も大きく、激しくなります。機嫌よく、ちょっとした探検気分で歩いていくと、「この先通行止め」の看板。しおしおと引き返そうとすると、うしろからワカメ取りに来たおばあさんが、「ああ、大丈夫だよ、ぐるっとね廻れるよ。私らも入るから」と。見ていると、通行止めの看板には関係なく、ごくふつーに村の人たちがワカメ取りのために中の道を歩いています。という訳で、気を取り直して、一周の旅を続行。玄界灘から吹き付けるきつい風と激しい波音。ワカメ取りをしている村の人たちは、「こんにちは」とにこにこ声をかけてくださいます。お散歩を堪能して、元の港に戻っても、まだ30分以上ある笑 一軒だけある喫茶店でコーヒーを飲みました。お店はまるで海水浴場の海の家の雰囲気。「最近、黄砂がすごくて、ほんと困りますよねえ」とおばさん。

 東京湾の某所にあるねずみの遊園地の一人当たりのお土産購入金額が、2000円ちょっとだと聞きます。この島の宝くじ必勝グッズは、2千円とか3千円。渡船に乗り、島に来て、まず宝くじ売り場で宝くじを買い、宝くじを納める袋を買い、御守りを買い、そしてお参りして、賽銭を上げ、そして時間つぶしにコーヒーでも飲む。この島に来る典型コースであります。ざっと、計算しても、なかなかの消費金額。もし、この神社がなければ、失礼ながら土日に渡船に乗ってやってくる人は、釣り人くらいしかいないでしょうが、100人乗りの船がほぼ満席。それに、海上タクシーなるものもあって、これだと一人片道500円(夜間割り増しアリ)で十数の事業者がやっている。なんと年間の観光客数は約20万人とも言われており、相当の経済波及効果でありましょう。

 いろんな意見がありましょうが、地方の街で観光振興するのにこうした他愛の無い「信仰」を活用するのは、ままいいのではないかと思うのです。考えてみると、宝くじが当ると評判になる⇒参拝者が増える⇒総数が増えるのだから、当選者も増える⇒ 当選者は礼状などを送ったり、お礼参りにやってくる ⇒ それをみた人たちが、「やっぱり当る」と思う
というあははなサイクルなんですが、そもそもが夢を買うようなもの、罪のあるものはないと思うのです。

 神仏を金儲けに使うなど罰当たりなと言う方もいらっしゃるでしょう。もちろん、人の弱みに付け込んで、法外な値段のグッズや祈祷を行ったりというのは非難されるべき行為かもしれませんが、払う方もなんとなく楽しい気分になって、そして地域の振興にも役立つというのなら、地域に埋もれる神社仏閣、名所旧跡を活用するのは悪いことではないのはと思います。

 以前、あるところの埋立地をどう活用するかという会議で、西向きで夕焼けがきれいなところなので、「いっそ、神社仏閣を移転させると、西方浄土で、西の方にきれいな夕焼けが見えるありがたいところと、高齢者に人気がでませんかねえ」と発言して、クリスチャンだというコンサルさんに「宗教をそんな風に使うというのは許せない」とこっぴどく叱られたことがあります。ところが、その後で、ある由緒ある神社の方が「あんたが言っていることは、あながち間違っていないよ。昔は、埋め立てをすると多くの人が集まる神社などを移転させたんだ。そうするとたくさんの人がやってきて地面を踏み固める。今のように重機がない時代の知恵だったんだろうがね。」と笑って慰められました。
 なんだか気分的にも沈みがちになっている昨今、地域に根付く神様、仏様にもご協力願って、みんなで楽しく町おこしなんてのも、なかなか魅力的だなあと、遠ざかる島を見ながら思ったのです。いつも思うことなのですが、古くはテーマパークとか、最近でも新しい名所作りとかいうことが地域起こしていわれますが、日本のあちらこちらに歴史ある資源がたくさん眠っていて、地元の人も気がついていないなんていうものが大半なのではないでしょうか。この高島の宝当神社も地元の方たちの地道な活動から始まったと聞きました。

 えっ?「で、お前は必勝グッズを買ったのか?」ってですか・・・えへへ、私は、生まれてこの方、そういうくじものには、滅法弱い方でして、そういうのはあまり当てにしない・・・・のですが、せっかく来たのだからと、お参りする前に宝くじを千
円分だけ購入いたしまして、真面目にお祈りして参りました。きっと、当りそうな・・・・気がちょっとだけ、しています・・・

 高島・宝当神社【唐津観光協会】