2006-1-31

 新年明けたら、ライブドアの騒ぎ。なんだか騒がしい一月ももう終わりです。早いもので、二月。「一月は行く。二月は逃げる。三月は去る。」とは、よく 言ったものですな。そういえば、私の知り合いが、このたび、名古屋落語界でデビューしました。その名も、雷門福三さん。最近、ブームになっている江戸と上 方に比較すると、あらあらどうも名古屋の落語界は元気がない。と、ここに登場したのが雷門福三さん。雷門とは、あの浅草に由来するそうで、由緒正しい一門 です。大須演芸場を舞台にこれから活躍するそうですので、どうぞご出張の折などには立ち寄ってください。今月は、占いも本格的に勉強しなくてはと思ってい る研究員・中村智彦が担当しています。

商店街の復活とは

 先日、商店街の再活性化事業の報告会というのに出席しました。 複数の商店街が、一年間、取り組んできた実績を報告し合うというものです。私が関係したある商店街組合では、商業者の方が、自分で報告しなくてはならいと 言うことで、一週間前の打ち合わせの時から緊張していました。  各商店街には、アドバイザーなるものが付くのですが、 「アドバイザーの方は、最初に5分間ほど簡単に紹介していただいて、15分から10分程度で、商業者の方が取り組みの報告をお願いします」と言われていた のです。私が「アドバイザー」という立場になった商店街は、一昨年から勉強会を始めて、和気藹々とやってきて、「やっぱり、二十年くらい前に地図を作った 時のように、もう一度、地図を作ろうよ」という結論に達し、今年は、ワークショップ形式で地図を作っていたのです。

 正直言って、二年前 に組合の役員さんに会った時は、思わず市役所の担当者の方に、「役所が一生懸命でも、当事者が諦めているのではねえ」と言ってしまったくらい、ご高齢ばか りで元気がなかったのです。それが一年間、勉強会したり、飲んだり、騒いだりしているうちに、二代目さん、三代目さんや、女性の経営者などが顔を出すよう に、この一年間も、私の学生も交えて、わいわいがやがや、20年ほどまえの地図を前にして、色々アイデアを出してきたのです。

 「どうし ましょうねえ、地図はまだ下書きも完成していないのに、報告会だなんて。」発表を担当する広報係のAさんは、困った顔をします。「いいんじゃないですか。 今までやってきたこととか、資料とか、ほら学生達が撮影した写真とかもありますから」と、5分だけ挨拶すれば良いと思っているアドバイザーはお気楽です。

 さて、本番。ずらりと並んだアドバイザーは、私以外、すべてコンサルタントの先生方です。みなさん、恰幅も良いし、堂々となさっていて、ちょっとドキドキしますけど、ま、5分間だけですから。

  と、始まると、「えっ?話しが違う。」少し離れたところに座るAさんも目が真ん丸になっています。「ど、どうする?」お互い、眼で会話。なんと、コンサル タントの先生方は、次々と延々とお話をされているのです。5分間じゃなかったのか。事業の説明も、コサルタントの先生がすべて話している・・・と、途中で 妙な事に気が付いたのです。その事業の報告であるべき資料。うちのは、会議で使った資料とか議事次第とか、そういうのが並んでいるのですが、他の商店街の はなんだか違う。中には、関係の無い外国の再開発地区の写真が並んでいたり、見本として並んでいるホームページの写真を良く見ると、ぜんぜん別の都市の別 の店のを貼り付けただけのも。「ははーん。事業が、あんまりちゃんと進んでいなくて、全部、コンサルタント先生が適当に作ったのだな。」しかし、コンサル タントの先生方は、それぞれ雄弁に長々と自説をお話しになっています。PR合戦か・・・zzzzzzz。

 私は、もちろん打ち合わせ通 り、5分で終わって、本題はAさんにやってもらいました。Aさんは、上手に説明してくれました。さて、報告が終わって、質疑応答の時間になった途端、妙な 空気になったのです。コンサルタント先生たちと、アドバイスを受けてきたはずの商店街の商業者たちの意見が、微妙にずれている。中には、「先程、先生の方 から、これこれの発表がありましたが、それは・・」とあからさまに反対の意見も。ひっくり返りそうになったのは、「そもそもうちは、もう活動を縮小してい こう、いかに手を引こうかと考えているんです」という発言。そしたら、この事業になぜ参加したやら・・?

 さて、問題はどこにあるかとい うと、まずこれは行政の補助事業なんですが、「やりたい!」と手を上げる商店街が少ないのだそうです。だから、実はあんまりやる気が無いというところも混 じっている。さらに、コンサルタント先生たちには、悪いのだけど、彼らが自分たちの発明のように言う手法には目新しさがないし、どうもコミュニケーション が悪いみたい。

 滞りなくとは言えないまでも、一応、議事はすべて終わると、うちの商店街組合理事長が、「あはは、寝てたでしょ。見た よ。見たよー。わしもちょっと寝たけどね」と言ってくるし、Aさんと「焦ったよねえ」と大笑い。で、同席していた学生に感想を聞くと、「やっぱりみんなで 楽しんでやっていないと駄目だなあと、つくづく思いました」と、珍しく良い回答。

 そうなんですよね。なんだか分からないけど、偉い先生 がやってきて、ああしろ、こうしろと言っても、そう簡単に動く訳ではない。商店主が、さてはてどうしようか、なにかできないか、やるなら楽しくやろうよ、 そうなって、初めて色々動くものなのです。誰もそんなに画期的な方法を思いつく訳は無い。

 商業者は、失礼ながら、製造業者に比較する と、補助金をもらえるものという意識が強い。それが今、カットされつつあるので、怒りをぶつける人もいる。しかし、本来的にそういうものではないだろう。 補助金もらって、偉い先生に来てもらって、お任せしていれば、客が戻るというのは幻想だ。自分たちから、小さくてもいいから何かを動かそうという気持ちが あって、またそれを楽しもうという気がなければ、もう何も変わらないだろう。まちづくり3法の改正などの意見を見ても、大企業のせいだとばかりのような気 がするが、いやもちろんそれもあるだろうけど、もっと自分たちの内部に深刻な問題を抱え込んでいるのではないだろうか。報告会は、かなり疲れたけれど、 今、商店街の抱える問題を目の当たりに出来て、その点では良い勉強になった。

 そういえば、「楽しくなくては・・」というのは、もの国のフレーズでもありまし
たね。

 今月号は、中村主任研究員が担当しました。