また台風が来ました。夕方から激しくなってきて、結局、久々に研究室に寝袋を敷いて、泊り込んでしました。一夜明けると台風一過で、良い天気。秋風も気持ちよい頃になりましたが、忙しいのは相変わらず、ゆっくり温泉にでもつかりたいなあと思う今日この頃です。
                    
  長井さ、いぐべ! ~ 学生による地場産品発見プロジェクト
 「スウィングガールズ」という映画をご存知ですか。白けきった女子高生たちが、ふとしたきっかけからビッグバンドのジャズをやりはじめるというストーリー。なかなか面白い作品になっています。

 そのロケ地となったのが、山形県。特に長井市では、米沢市と並んで、多くの撮影が行われました。9月、その長井市に、学生たちを連れて、あるプロジェクトに参加してきました。

  きっかけは「なんとか地場産品の販売を促進できないか。地元の業者にもっと元気になってもらえないか」という市や地場産業振興センターの考え。地場産品の 販売促進というと、「名産品開発」ということがしばしば行政の支援対象になります。いわゆる「新製品開発」です。しかし、無理無理に「新名物」を作ったと ころで、長続きさせるのは至難の業です。むしろ、「地元の人にとっては、普通のもの」だが、「外来者からみると、珍しいもの」を見つけ出して、売り出して みるほうが現実的ではないかというのが、今回のコンセプトです。

 地元の人は、普通すぎてなかなか「珍しいもの」だとは気がつかない。そ んなものは、結構、地方に行くとあるものです。まったく東北に縁もゆかりもない学生たちは、町を歩き、企業の方たちの工場や作業所や家にお邪魔して、感動 し、驚きの声を上げます。その驚いている様子に、地元の人たちは驚くということがたくさん見られました。

 学生たちは、大阪、名古屋、京 都、山形から集まりました。初対面の学生がチームを組んだり、たった一人で取り組んだりという結構、ハードな状況の中で、若者たちは生き生きと活動を行い ました。酒造メーカー、ハム製造、鯉の養殖と加工、朝食、おもしろ食材などのチームそれぞれが、ビデオカメラを担ぎ、最終日にPRビデオ作成の使命を負っ て、市内に散って行きます。

 市内の事業者の地場産業センターから声をかけたのですが、正直、当初、経営者の方たちのノリはイマイチでし た。それが学生たちが、数日間、それぞれに張り付いて取材をし、PR用のビデオを見せながら発表を行う頃には、目に涙を浮かべる人も。新聞にそうした活動 をしていることが報じられると、「ぜひうちにも取材に」と電話も入りました。

 もちろん学生たちが作るものですから、専門業者に発注するよりも、手間もかかり、荒削りのものしか出来上がりませんが、なにより人のつながりが構築されたのは大きな収穫だったいえるでしょう。

  超低予算で、学生たちを長井まで連れてきてというかなり無謀な計画は、市役所の商工観光課や、置賜地域地場産業振興センターの職員のボランティア的な働き を抜きには実施不可能。自宅の朝食に招待したり、終日、車を運転して取材の支援をしたり、あるいは深夜、未明まで発表会の準備に付き合ったり、学生たちが 感激するほどでした。

 地方の経済は、低迷を続けています。地域振興策も、様々なに試みられますが、しかし、行政の予算も逼迫し、高齢化 や少子化、過疎化の波は、地域を蝕んでいます。そんな状況の中でも、なにか、まず「楽しい」ことから始めることが重要になっている。学生たちは、次は自腹 で雪の長井を訪ねたいと言い出しています。11月には、東京で長井出身者への産品プロモーションが計画されていますが、それにも参加することになっていま す。

 「スウィングガールズ」を映画館に見に行った学生からのメールが、これからの振興策の一つアイデアになるのではと感じました。「二 人で見に行ったんですけど、冒頭の長井の風景が映し出されると、涙が出てきて。なんだか、まだ心は長井に置いてきたみたいです。これから、長井の売り出し に協力していこうって思っています。」

 大切なことは、その地域を好きになってくれる人を増やすことでしょう。単にお祭り騒ぎで一時的に人を集めても、手垢のついたようなテーマパークを作っても、すぐ飽きられてしまっておわりでしょう。長井の試みは、まず一歩、これから続けていきます。

 今回のプロジェクトの模様をブログ でごらんいただけます。(近日中にHPに移行する予定です。多少、見づらいのをお許しください。)


 今月号は、中村主任研究員が担当しました。