蒸し暑い日が続いています。蒸し暑いと、たださえ低い思考能力が、一層、停滞して、時としてフリーズします。大学の研究室は、気温や湿度関係なく、一定 の日にならないと冷房は入りません。窓には、なぜか網戸もありません。日が暮れてくると、暑さか、あるいは蚊やその他の昆虫の侵入か、どちらかを選択せね ばなりません。違法行為承知で、窓型の冷房機を設置している同僚センセイもいるようですが、そこまでの勇気もありません。あああああ、憂鬱な1ヶ月が始ま ります。誰か氷柱でも、送ってくれないでしょうか・・

  外国人労働者について議論すべき時期が来た
 「うちも実はインドネシア人を雇っているよ。真面目に働くし、うちでは日本人と同等の給与と待遇にしているけど」。外国人「研修生」の失踪や自殺が多いという報道に関して、すこし驚いた風である中小企業の経営者が話す。

  日本の人口は、2004-5年を境に、減少傾向に転ずると予想されている。特に生産年齢人口(16歳から64歳)は、すでに平成7(1995)年をピーク に以後一転して減少過程に入っている。また、今後の生産年齢人口を支えることになる年少人口も昭和48年(1973)年の209万人から一貫して減少傾向 にあり、推計によれば2003年に1,700万人台に減少している。

 失業率の上昇が問題になる一方で、若い労働力が不足しているという 状況も同時に発生している。こうした傾向は、先進国では共通の問題である。自国民は、給与水準の高い職種を希望することが多く、たとえ職に困っていても、 給与の安い、3K職場に行こうとは考えないことが多い。その結果、そうした職場は労働力不足に陥りがちであり、外国人労働者に依存することが多い。

 ところが、日本は単純労働者の受入を認めていない。つまり、工場労働者や建設作業員などに外国人が労働者として勤務してはいけないのである。では、先の経営者は違法行為を行っているのであろうか。

  「外国人研修・技能実習制度」というのが、我が国のカラクリである。つまり、我が国は「労働者」は受け入れていないが、「研修生」は受け入れているのであ る。この制度を利用すれば、外国人「研修生」を最長3年間、受け入れることが可能となっている。実際、この制度を利用する企業は多い。ただ、単独で利用す ることは制限されており、協同組合や商工会などを窓口にすることとなっている。例えば、商工会のケースでは、現在、全国約150の商工会が実施し、企業数 は約700社、外国人研修生・技能実習生数は約1800名に上っている。こうして、違法ではなく外国人「労働者」いや、外国人研修生を合法的に確保できる のである。

 「外国人研修生」でネット検索すれば、それに関係する団体や組合などを容易に見つけだすことができる。そこには、「国際貢 献」、「国際協力」などという文字が踊る。しかし、ここには大きな問題が存在している。第一、仮に「研修」として受け入れているのであれば、なぜ新聞報道 などで「脱走」などという文字が踊るのであろうか。さらに、「失踪」や「自殺」が異常に多いのはどうしてであろうか。

 「研修生」を送り 出しているある国の領事と話したことがある。彼は、「研修と言う言葉は、日本側が望んで勝手に使っているだけで、我々の理解では労働者だ。」実際、「研修 生」を受け入れている現場に何度か足を運んだことがあるが、それは「研修」などではなく、「労働」以外の何ものでもなかった。

 私は、外 国人労働者を受け入れることには賛成である。しかし、この研修生制度は、国際的に見ても大きな問題を抱えていると指摘したい。なによりも、その受入推進団 体なるものが、中央官庁の天下り職員で構成され、「公設口入れ屋」化していることが大きな問題である。以前、筆者が公務員だったとき、ある受入機関を訪れ た時、そこの支社長は、「私も府の労働部から、他には警察、入管など関係各機関からの退職者で占めています。本部は、労働省の天下りですがね。だからこ そ、スムーズな手続きなどが出来るのです」と胸を張った。なんとも聞くに堪えないお話だった。(きっと、私が当時は公務員だったから気を許したのだろ う。)次に、各地で問題になっているように、「研修」と称していながら、およそ研修らしいことが実施されていないことも、こうした制度の嘘を示している。 ある地方自治体の職員は、「禁酒法時代のギャングと一緒で、労働不足に悩む企業と、日本に働きに来たい労働者の両方から搾取している連中がいる」と指摘す る。

 つい今週も、ある企業で中国人「研修生」を隠しカメラで監視していたとして経営者が警察の取り調べを受けた。「労働者」ではなく、 「研修生」であるからと、労働者としての権利すらも守られていないことが多い。「うちの研修生が、なんとか友人もここで受け入れてくれと土下座するので、 理由を聞いた。そうしたら、友人が送られた企業は、タコ部屋のようなところで、彼を頼って逃げてきたというのだ。可哀想でなんとかしたかったが、どうしよ うもできなかった」と別のある経営者は話す。「語学研修」も終わっているはずなのだが、ほとんどコミュニケーションが採れないという経営者にも会ったこと がある。にも、関わらず、マスコミの報道でも、どちからというと「外国人=犯罪の温床」あるいは、「研修制度の成功」といった情報しかないのだろうか。あ るマスコミ関係者は、「研修生問題を取り上げようとすると、この不況下、中小企業いじめになるから止めろと上部から圧力をかけられ中断したことがある」と 話した。

 今後、一層、労働力人口の減少が進み、外国人労働者の必要性が高まっていくだろう。現実に、かなりの部分を外国人の労働力に依 存していることを認識しなければならない。その上で、「労働者」を「研修生」だのと呼び、「国際協力」だ、「国際貢献」だというまやかしを止めるようにし なければ、それこそ国際的に孤立しかねない。東南アジアの進出企業に詳しい友人は、「最近、研修生制度で日本に行った人たちが、結局、日本企業に反感を持 ち、うまく現地の日系企業に採用された上で労働争議などを起こすケースが目立っている」と話していた。「労働者としての権利が国内で守られてないために、 中にはひどい待遇をする経営者も多く、帰国後、ずっと日系企業に恨みを募らせているようだ。国内のこうした制度が、結果的に進出する日系企業にマイナスの 影響を与えている」と彼は心配する。

 存在するものを読み替えることで、存在しないものにしてしまうのは、日本の伝統文化かも知れない。 古くは般若湯(=酒)、ウサギの数え方(=一羽、二羽→「鳥で四つ足の動物ではない」から食べてよいという解釈)。新しくは第二次世界大戦の時に、漁船を 徴用して「駆逐艦」、トラックに壊れた大砲を載せて「戦車」等と呼び、あの大きな敗戦を引き起こした。工場や工事現場で働かせ、それを研修だと言って、国 際協力や国際貢献になると強弁することが果たして、中小企業の未来に役立つのだろうか。労働させるために受け入れているのなら、「労働者」と呼び、得たい の知れない天下り役人に搾取させるのではなく、きちんと政府機関なりで管理監督しながら、受け入れるのが筋ではないのか。「外国人労働者を受け入れれば、 治安が悪化する」という宣伝も巧妙だが、すでに多くの外国人「労働者」を受け入れているのだ。冷静に、この問題を議論し、上前をはねている人たちを排除す ることの方が、国際貢献にも、国際協力にも、そして中小企業のためにもなるのではないだろうか。

今月号は、中村主任研究員が担当しました。