この間から、某テレビ局の取材が私のゼミに入っていました。学生たちは、結構、大喜び状態です。企業訪問をしているところを取材したいということで、学生たちが、えびせんべいの製造企業を訪問しました。さて、そこから帰ってきた学生たちと私との会話。
センセイ「で、どうだった?」
学生A「センセー、イカが鳴くんっすよ。イカが。」
センセイ「は?(笑)」
学生A「ウソじゃないっす。ホントに鳴くんっす。」
学生B「そうそうそれも死んだイカが鳴くんっすよ。」
・・・・・・・・・・?
 要するにイカせんべいを作る実演をやらせてもらったらしいのですが・・・。後で取材クルーから、「笑いこらえるの必死でしたよ」って・・・あの部分は、放送しないで欲しい・・・。
 放送は、東海地方限定で、10月31日午後7時半からNHK総合での予定です。中村ゼミのアホさ加減が公開されます・・
 地方都市の産業活性化とは~ 山形県長井市を訪れて

  ひょんなことから山形県の長井市にでかけてきました。大学院時代の後輩が、稼業である酒店を継ぐために帰郷したのが、昨年のこと。今年になって、突然、電 話があり、「とにかく一度、来てください」。あんまり熱心な誘いだったので、心動いていたところ、市役所と商工会議所も協力していただいて、長井市訪問が 実現した。
 
 山形空港から車で約1時間ほどで、彼の郷里である長井市に着いた。長井市は、生ゴミのリサイクル『レインボープラン』や、 製造業のデータベース、地元長井工業高校と地元製造業企業との連携などで注目されている。しかし、大手企業の海外シフトの影響による工場の閉鎖や移転、雇 用の削減。少子高齢化による人口減少。郊外型店舗の進出による中心商店街の衰退。様々な問題が、地域の経済を苦しめている。
 
 最上川 は、かつて舟運が栄えていた。その集散地として、長井市は栄えていただけのことがあって、町中には今も私たちの目を奪うような建築物がいくつか現存してい る。商店街の若者たちは、これらを集客に生かせないかと考えている。郊外(というほどの距離もない)には、大型の店舗が軒を連ねて、まるで郊外型店舗の展 示場のようだ。一部の商店は、衰退する町中から、こうした郊外型店舗の並ぶ地域に移転している。「XXさんは、郊外に店舗を移して、町中は閉めちゃったの だけど、やっぱり町中に愛着があって、どうにかしてあの旧店舗を生かせないかっていつも言っているんですよ。難しいでしょうけどねえ」と市の職員が話す。

  長井は、水の街でもある。湧き水が豊富で、水路には清らかな水が流れている。かつては、その流れを家々が引き込み、炊事、洗濯に用いた。炊事に用いた水に は、食物のかすが混ざる。その水を池に流し、鯉を飼う。そして、その鯉が食卓に上るというリサイクルもしっかり根付いていたのだ。近年、水路がところどこ ろで道路の拡張などによって寸断され、枯れるところも目立ったいた。それを最近、復活させる動きも始まっている。「町中のどこにいても、水の流れる音がす る。それが本来の長井の街だと思うのです。」後輩は、そうした街が地元の人にも、訪れる人にも魅力的になると考えている。「大規模店にやられたと言ってば かりじゃ、しょうがない。僕らは、個人商店主として、魅力ある街、魅力ある店作りをしていかないと。ただ、売るだけなら、便利な大規模店にお客さんは流れ ます。」

 長井市は、国内の基盤技術の維持を大きなテーマに、様々な努力を行ってきた。地元の工業高校と連携して、技術者の養成やマイス ターの育成などに力を注いできた。その成果は、地元製造企業の技術力向上に役立ってきた。地元企業を訪問させていただき、また後継者たちとも話をする機会 があった。基盤技術の維持は、大きな成果を残してきたことは間違いない。しかし、それだけでは生き残れないのではないかという意見が多かった。基盤技術の マニュアル化、自動化は年々、進化している。それらが進めば進むほど、海外勢との競争は激化するばかりである。新しい技術の開発、顧客ニーズに沿った製品 の開発などが求められている。

 「変化の速度が、年々速くなっている。5年後に、今の技術、製品構成で生き残れるかどうかは定かではな い」とある経営者は言う。「ITの活用も、ただホームページを使うだけで売上げがあがるなどと思っていたのでは駄目だ。使えて当たり前になっていることを 分からねば。」と若手後継者は言う。「職人技に依存ばかりしていたのでは駄目。時代に合わせた設備投資を行い、新しい製造技術にチャレンジしていく」と、 別の若手後継者も言う。

 単純生産で、大量に安く作るという考えでは勝負できないことは、経営者たちは理解している。しかし、しばしばそ こから抜け出せないという恨み節ばかりを連ねる経営者たちもいる。今回、お会いした経営者たちは、そこからなんとか抜けだそうと努力を重ねている人たちば かりだった。
 「うちは、今までなんとかやってこれた。この街が好きだし、将来もこの街で生きていきたい。うちのノウハウが、この街で頑張る他の 企業の役に立つなら、いくらでも公開するつもりだ。海外展開する企業ばかりが、もてはやされるが、地域に残って、雇用を守って、がんばっている企業をもっ と認めてくれてもいいだろう。」ある経営者は、そう言った。

 「明るい見通しなんか、一つもないですよね。でも、嘆いてばかりいても仕方 ない。この街で、なんとか楽しく暮らしていくために、なにか動くしかないじゃないですか。」最後の夜、後輩は、そう言った。長井は、今、次のステップに上 がろうと動き始めているようだ。色々と企んでいるらしい後輩と、製造業と商業の若手後継者たちの静かだが、自信あふれた顔を思い出すと、なんとなくワクワ クしてしまう。 

今月号は、中村主任研究員が担当しました。