ものフェスが終わって、ほっとしたのか風邪を引いて往生しました。某市立大学に呼ばれたので、以前、けんかした某市の都市開発部署の悪口を言いたい放題言ってきたら、翌日から声が出なくなりました。(バチが当たったの声アリ)
 ちなみに、前号で書きましたうちの舎弟のK君ですが、ものフェスでの催しでの売上げが、ちょうど名古屋までの新幹線自由席料金(ただし金券ショップ価格)に達し、無事、帰還を果たしました。みなさま、ありがとうございました。
 さて、所長、公務多忙なため、本号は代打で中村が担当いたします。
困ること

  あるところで仕事を一緒にしている方たちと、雑談になった。そこで、最近、困ることという話題になって、盛り上がった。ここのところ、仕事を一緒にするの は、年齢の比較的近い人たちが多いので、抱えている問題も同じようなものだから、結構、参考にもなるし、笑いあえることが多い。
 しかし、その時は、「全くねえ・・・どうしたもんだろうねえ」とため息をついて、顔を見合わせてしまったのだ。

  どんなことかというと、講演会や勉強会に招かれて、最近の経済状況とか、他の地域の事例などを話しをすると、全く解っていないという顔をされ、厳しく質問 してくる経営者がいるということなのだ。厳しく質問されるのは、こちらも一応、プロということで行っているのだから、仕方ないことで、問題は、その質問の 内容なのだ。

 つまり、「お前が話しているのは、長期的な話題ばかりで、短期的な話題がない。私は、中小企業の経営者だが、不況の中で経 営が悪化し、明日、倒産するやもしれない状況だ。もう、どうして良いか解らない。本来ならこんなところに来ている場合ではないのだが、何か参考になるこ と、売上げが上がる秘訣がないかと来たのに、なんだお前の話は。中小企業経営者の実態など、一つも解っていないではないか」とお怒りになっているのであ る。
 
 そういう質問があるたびに、なんとも言えない気持ちになる。第一に、そういう質問をする人たちは、あからさまに「あなたはいいね え、楽な仕事で。私たちのしんどさが解らないだろう」という態度を見せてくる。確かに、そう見えるのかも知れないが、こちとらだって、他人には解らない大 変さはあるし、そんなに楽ちんな仕事でもない。それに、大人数を相手にする講演会とか、勉強会で、特定の一社の建て直しに関して話せという方が無理という もんだ。そんな風に、こちらも、あくまで内心ではあるが少々、穏やかではない気分になる。

 同業者とこういう話をしていて、ではどうする べきかという私たちなりの結論は、次のようなものだ。もし、本当に経営者として、どうしていいのか解らないのであれば、それは経営者失格してますと公言し ているようなもので、子息なり従業員なりの適切な人材に経営権を譲るか、そうでなければ廃業を決意すべきだ。

 そもそも、公の場に出てき て、経営が行き詰まっているなどと発言すること自体、間違っているだろう。はっきり言うが、こんな経営者の下で働いている従業員は気の毒だ。「倒産するか も知れない。」「資金繰りが逼迫している。」「誰か助けて欲しい。」などと発言している経営者の企業と、誰が新たな取引をしたいと思うだろうか。そういっ た発想も欠落しているのだろうか。

 ある時に、そういう経営者に頼まれて、経営診断するよう専門家を紹介したことがある。そもそも専門家 や研究者というのは、魔法が使える訳ではない。様々な経営指標を検討して、判断を下す。その時も、専門家の判断は廃業であった。残酷だろうか。経営者の年 齢、後継者の有無、資産、従業員への退職金などの支払い、様々な資料から考えて、私も廃業することを勧めた。その後? 実は知らない。私たちの考えは伝え た。高齢の経営者は不満そうだった。あとは、その経営者の判断だろう。

 社会的に、中小企業の活性化が必要だということと、個別的な企業の経営をどうするかは、別問題だ。今の政権の経済運営がまずいと、いくら怒ってみても、今日明日の経営が改善する訳ではない。全く関係ないとは言わないが、しかし、直接的には関係しない。
 
  「なんでも誰かが助けてくれると思っている人が多くないかな。」雑談をしているときに、同業者の一人がつぶやいた。景気が悪いから、政府が悪いから、補助 金がないから、忙しいから、従業員が駄目だから、息子が駄目だから・・・そういう、特に中高齢者の経営者が多いような気がする。年齢で切るなと、またク レームが付きそうだが、そういう愚痴を言うのは、やはり60歳以上の経営者に多いような気がするのだ。

 中小企業、特に製造業の場合、後 継者がいないという問題からか、高齢者主導の意見形成が強いような気がしてならない。将来に対する必要以上な悲観論や、過去の成功体験に固執した拡大幻想 が出てくるのは、そのせいではないだろうか。以前にキセイレン(京都機械金属中小企業青年連絡会)の勉強会で、ある地方金融機関の経営者は、「敗者は、速 やかに退場せよ」と冒頭で明言した。
 敗者となってからの退場は、遅すぎる。経営者も高齢化し、後継者がおらず、新しい取り組みにも挑戦できなく なってきた企業は、廃業も一つの選択肢である。厳しいようだが、寿命が尽きた企業が存続し、その結果、新しい企業の芽を摘んでいるとしたら、それは大きな 不幸だろう。

 「私たちは、長期的な話などしていない。少子高齢化も、国際化も、すべて短期的な問題になっている。それらが長期的な問題 だと思っていること自体が、経営者の感覚としてずれている。それに、私たちは、個々の企業の経営を云々できる立場にはない。」同業者の一人は、話の最後に そう言った。今までの経験だけでは、乗り切れない時代になっていることは、中小企業の経営者だけではなく、多くの人が身をもって感じていることである。多 くの人は、自分で考えて、動く努力をやめてはいない。ものづくりフェスタ2003に参加している経営者のみなさんと話していると、まだまだ大丈夫だと安心 できた。このメルマガの読者で、経営者の方々は、決して、ここで紹介したような発言はしないと信じている。まあ、酔っぱらってはしゃいでいる筆者の姿を見 た参加者で、自社の経営を相談してみようなんて酔狂な考えの人はいないだろうけど・・

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