石を敷くために庭を掘っていたとき、埋まっていたガラス瓶を見つけた。

洗ったところ。

たぶんインクの瓶だろうと思った。

底の直径は約4.5㎝、高さは約5㎝。

昨日、夫が瓶をひっくりかえしてみたところ、「S」の文字が三つ並んで浮き出していた。

コントラストと明るさを調整してみたけれど、わかりづらい。

「SSS」「インク」などで検索してみたら、「サンエス」という万年筆の会社がヒットした。

太陽（SUN）海（SEA）星（STAR）からつけた社名だったとのこと。

創業は1920年（大正9年）。いつまであったのかはわからない。というか、廃業したことを前提に書いてしまったけれど、たぶんもう営業していないのではないかと思う。

これは確かにインク瓶だったらしい。昔のインク瓶を探すといろいろな画像が出てきた。色ガラスだったり、表面に渦のような装飾が施されていたり、陶器の1.2ℓ入りインク瓶なんていうのもあった。

そして、これと同じと思われるSSSの透明インク瓶を、骨董市で買ったというコメントもあった。

掘り出した瓶は、6〜70年くらい前のものだろうか。戦後のものには違いないと思う。それほど深いところに埋まっていたわけではないし、この街は1945年7月17日（もうすぐだ）に全市が空襲でかなりやられていて1万戸以上の家が全半焼したとのことだし。うちのあたりにもバラックが建っていたと聞いたことがある。

ガラスの厚みが微妙に均一でなく、気泡や歪みがあって味わい深い。

汚れが完全に取りきれていない。（洗いにくい形の瓶だ）

うちには、大正末期から昭和の初めごろのガラス瓶がある。

掘り出したわけではなく、祖父の持ち物だった。薬剤師だった祖父は、戦争末期に名古屋から静岡県に疎開してきたとき、薬壜や天秤秤、乳鉢やメスシリンダーなどを持ってきたのだった。

不思議な形の瓶。何を入れていたのだろう。

左の瓶の蓋は、何か用途があったのだろうか。

瓶の内側に、薬を入れていたときのあとが残っている。（置き場所が傾いていたのだろうか）

私は子どものころ（今でも）ガラスが好きで、よくこれらの祖父の道具を取り出して飽きずに眺めていた。

ハイカラなものが好きだった祖父は、戦前から自分で豆を煎ってコーヒーを入れる人だったらしい。その祖父のコーヒー沸かしは、コーヒー好きの姉が持って行った。

火にかけて使うシンプルなものなので、今でも使えるのではないかと思う。

硝子瓶