自治体の、狩野川河川敷清掃に参加した。

前住んでいたところで参加していた自然観察グループは、観察する場所が海辺の緑地だったので、毎回最後に海岸清掃をしていた。砂に埋もれて見つかるゴミは、アルミ缶やペットボトルなどのほか、紙パックの飲み物についているようなプラスチックのストローやタバコのフィルターが多かった。一度、値札のついたままのユニクロの服が何着か（雨に濡れて泥まみれだったけれど）、草の中に放置されていたときはびっくりした。

中学生や小学生も参加している。狩野川の河川敷清掃は「清掃」とはいえ、主な活動としては草刈りらしい。

黄色いかごの中に草刈り鎌がたくさんあった。

近所の人が「全部用意してあるから、手ぶらで行ったらいいよ」と言うので、手袋だけ持って参加した。

河川敷といっても、堤防の中段までの草刈りとゴミ拾いをすればいいらしい。ふたつの橋と橋の間が範囲で、これがけっこう広い。

私も草刈り鎌を借り、ゴミ袋をひとつもらって、橋の下の草を刈ることにした。

イヌホオズキ。まだ枯れていないコバンソウもある。

イヌホオズキの実。緑も黒も、黒になりつつある紫がかったのもある。

花が咲き、実がなっている植物を抜くとき、いつも申し訳なくなる。あまり意味のない感情移入なんだろうな、とは思うけれど「ごめんね、ごめんね」と思いながら刈る。

一昨日、物置を設置する予定の場所にあった裏庭の南天を切った。ずっと放置されていた南天は太くなり、何本もの幹が2m以上にも伸びていた。それを、一本ずつ鋸で切った。ごめんね、と思いながら。

南天の木の皮を剥くと、内側の木肌ははっとするほど鮮やかな黄色だった。

昨日は、鋸で切り残した株（何本もの枝が集まったオブジェのような）のまわりをスコップで掘った。そのとき、根に取り付いていたらしいセミの蛹を一匹、スコップでふたつに切ってしまった。

何年も土の中にいて、多分この夏出てくるはずだったのだろう。セミは樹木にとってはよくない虫だというけれど、やはり「ごめんね」としか思えない。

土手の上に続く石垣の隙間に、ツタバウンランがたくさん咲いていた。

独断で、これは抜かずにほぼ全部残した。ツタバウンランくらい生えていたっていいだろう。「清掃」の目的がきれいにすることなら、ロックガーデンには人気だというツタバウンランが石垣で咲くのは「きれい」なんじゃないかな。

先月、鯉のぼりフェスティバルのときに河川敷で見つけた「なぞの草」の正体がわかった。

オオカワヂシャという特定外来生物だった。写真は4月28日に撮ったもの。

オオイヌノフグリに似た花が、花序の下から咲いていく。

日本固有種のカワヂシャは、これに駆逐されかけているらしい。交雑もしているらしい。

植物に罪はないんだけれど、特定外来生物の栽培は禁止されている。なのに、そういう植物はたいてい繁殖力が旺盛だったりする。

オオカワヂシャは食用になるという説もあるので、美味しければ食べ尽くしてしまえばいいのだけれど、実食された野食ハンター茸本（たけもと）さんの動画によれば、苦くてエグくて飲み込めなかったとのことだ。

チシャというのはレタスのことで、チシャで思い出すのは『ラプンツェル』だ。

私はグリム童話集の中の一編として読んだけれど、美しい絵本を見つけた。訳が、せたていじ（瀬田貞二）さんだから、文章もきっといいはず。

正確には、ラプンツェル（ドイツ語）はチシャ（キク科）ではなく、ノヂシャ（スイカズラ科）なのだそうだ。農夫のおかみさんが、妊娠中に魔女の庭に生えているラプンツェルが食べたくてたまらなくなり、とってきて食べてしまったために、生まれた娘を魔女にとられることになる。

アニメの「塔の上のラプンツェル」は観ていないけれど、グリムの話とはだいぶ違っているようだ。

朝8時から約1時間。草刈りを終え、カルピスソーダを一本もらって帰った。