2005年09月26日に書いた日記  シュートボクシング | 快児オフィシャルブログ「快児ワードファクトリー」Powered by Ameba

2005年09月26日に書いた日記  シュートボクシング

シュートボクシングとは、パンチ、キックに加え、肘打ち、投げ技、立ち間接までありという格闘技だ。
そのシュートボクシングをやっている友達がいる。

彼との出会いは5年前。そのころ俺は池袋のツタヤでアルバイトをしていた。ある日レジに、背が高いわけではないが、半そでから覗く二の腕が異様にひきしまった、がたいのいい兄ちゃんが来て
「入会したいんですけど」
と言ってきた。
「あ、じゃあこちらご記入ください」
と入会申し込み用紙を差し出すと、彼は職業欄にシュートボクシング協会と書き込んだ。

これはシュートの選手に違いないと思った俺は、店員であるにもかかわらず「シュートやってはるんですか?」
と聞いた。
「はい、まだデビューしたてなんですけどね。あはは」

それから彼はちょくちょくツタヤに来るようになり、おすすめ映画を聞いてきたり、プライベートな話までしてくれるようになってきた。
深夜3時に来店して
「僕今日試合なんですよ」
と言うので
「え??今日って、そんなもんはよ寝なあきませんやん。ビデオ見てる場合やないですよ」
と返すと、彼は照れくさそうに
「実は試合前日は緊張して眠れないんです。だからロッキーをみるんです」「ロッキー?」
「ロッキーのテーマを聞いてるとなんか力がわいてくる気がするんで、いつも試合前はずっとロッキーを見てるんです」
うーん、大丈夫か。試合前日にロッキーを見続けるって。
すると
「よかったら見に来てもらえませんか?フレッシュマンファイトっていって前座みたいなもんなんですけど。」
と彼が口にしたので、招待してもらうことにした。
「勝ってK1出ていつか魔裟斗ぶったおしてくださいよ」
「そうなれるようがんばります」

初の後楽園ホール。ここから様々なチャンピオンが生まれていったのかと、うきうきしながら会場に入ると、けっこう客席はがらがら。こんなもんなんか・・少しがっかりしているうちに、さっそく彼の入場シーンとなった。
さっそうとリングに入った彼は、相手の前までつかつか歩いていき、なんと首を掻っ切るポーズをした。意外と大胆なことをする。そして試合開始。・・・強い。3分3ラウンド圧倒的に相手を攻め続け、判定で勝利した。フレッシュマンファイトは3ラウンドしかない。その上のエキスパートクラスルールの5ラウンドであれば相手は立っていられなかっただろう。

そのうち彼は、俺の単独ライブにも足をはこんでくれるようになり、お互いに応援しあう仲になった。俺が見に行った試合、彼は全て勝った。

時は流れ・・・

そして去年、シュートボクシング最大のイベント、Sカップに彼は出場することになった。中量級でシュート世界一を決めるトーナメントだ。といっても、リザーバーといって、トーナメントメンバーの誰かが試合で怪我をした場合、代わりに組み込まれるという立場だ。補欠みたいなもの。大概勝った選手が次の試合には出ないなんてことはないので、選ばれたことはすごいが出番はないかと思われた。
しかし、アルバート・クラウスが負傷した。クラウスとは第一回K1ワールドマックス優勝者だ。あの魔裟斗をぶったおしたやつ。そんなやつの代わりにどういうわけか、彼が準決勝に出ることになったのだ。そして勝ってしまった。決勝でアンディー・サワーに負けたものの、見事準優勝となった。

そのサワーが今年K1で優勝した。

昨日、昼のライブで苦杯をなめた俺は、夜彼の試合を見に行った。彼の試合はメインイベント。ホールは満員。相手は魔裟斗と判定までいった韓国のエース、イム・チミン。
結果は圧勝。
相手ボコボコ。
会場大盛り上がり。
鳥肌がたった。
俺と同じような立場だった彼は、音速でその世界のトップに駆け上がった。
なんだかくやしい。でもすばらしい。

彼の名は宍戸大樹。俺の友達の中で最も強いやつだ。魔裟斗をほんとにぶったおせる位置にいる。