大相撲デビュー | 快児オフィシャルブログ「快児ワードファクトリー」Powered by Ameba

大相撲デビュー

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一昨日イベンターをやっている方から相撲に行かないかとのお誘いを受けた。
相撲…
プロレス、K-1、総合格闘技、シュートボクシングと、ほとんどの格闘技が大好物な俺だが、ふと考えてみると相撲にだけはハマッたことがなかったことに気付いた。

なぜか。それは相撲をとるまでの儀式的なものが、見ていてイライラするからだ。何のために塩をまき、しこを踏み、前かがみになって、やるのかと思ったらまた戻り、また塩をまくのか。「いやまだいかへんのかい!」とつっこみを入れたくなる。伝統だと言われればそれまでだが、その点がどうしても俺には不可解だったのだ。
しかし興味はあった。バンドの演奏にしてもお笑いのネタにしても、生というものは魅力が7割ほど増す。生で相撲を見たら、あのような大男たちのぶつかり合いを見たらどんな衝撃を受けるのか。

両国国技館に着いたのは3時。まだ幕下力士たちの取組をやっている頃だった。客席はガラガラ。まあ当然だろう。
知らない力士たちだがとりあえず見てみるか。そう思い土俵に目をやった。まず感じたこと、それは迫力がないということだ。身長体重は幕内力士と大差ないはずだがなぜだろうか。わからない。この分だと幕内力士になっても楽しめないのではないか?そんな不安がよぎった。

しかたなく何か笑いになるような事を探そうと思った。その時だ。呼出しと呼ばれる力士の名を抑揚をつけてコールするおっさんがこう言った。
「ひが~し~、かめ~い~」
亀井?
取組表に目を落とす。確かに亀井という名の力士であった。
他にもそんな力士がいないか探してみた。
いるわいるわ。
井上。山田。中山。加藤。吉澤。石原。
ただの苗字やないか。
慶。
チャラ男芸人か。
そして、原。
原て!
「に~し~、は~ら~」
原て!
ちなみに小山はいなかった。

しばらくつまらない取組が続き、ついに幕内力士の土俵入りが始まった。
皆色とりどりの化粧まわしをつけている。美しい。
高見盛が出てきた。どっと沸く会場。
「高見盛?!」
黄色い、いや、ばあさんの黄土色い声援が飛ぶ。
いつの間にか場内は満席に。突然の臨場感。
幕内力士が土俵をぐるりと囲む。圧巻。こうも雰囲気が変わるとは。オーラが違う。
魁皇、高見盛、白鵬、把瑠都の順に大きな声援を受けていた。無敗の横綱より魁皇なのか。

そこからの取組はさっきまでとは打って変わったような盛り上がりを見せた。技の1つ1つに場内がどよめく。いつの間にか俺も相撲というものに見入っていた。
ついでに言うが、呼出しの人、行司の人共に、最後に近づくにつれいい声の人に代わっていった。カラオケを歌わせても上手いに違いない。

そして…前々から不満に思っていた「塩をまき、しこを踏み、前かがみになって、やるのかと思ったらまた戻り、また塩をまく」という作業についての考え方が変わった。
これは、客を焦らしているのだ。必要のある「ため」なのだと。
二回目の塩まきの後、客は「さあ今からやるぞ!」といった感じで大声援を送る。焦らしたからこその爆発感。そうか。そうだったのか。ようやく楽しみ方がわかった。

いつの間にやら夢中になっているワタクシ。
ついに横綱白鵬登場。クライマックス。メインイベント。
例によって塩をまき、しこを踏み、前かがみになって、また戻り、また塩をまき、前かがみになって、また戻る。
すごい声援。これで最後、最高の勝負が始ま…
「ゴゴゴゴーン!」

!!
地震が起きたのだった!このタイミングで!?
どよめく館内。さっきの歓声以上に。
そしてこれまたこのタイミングで
「はっけよい!のこった!」
始まってしまった。
日馬富士があっさりと白鵬を押し出す。
客が地震にどよめいている間に、全勝の白鵬が負けた。
なんだこりゃ。
さすがの白鵬も地震に動揺したのか。

場内アナウンスで
「座布団は絶対に投げないでください」
と散々聞かされていたはずなのに、客は座布団を投げまくる。
おそらく「投げないでください」をフリだと思ったのだろう。

そんな大相撲デビュー戦。これからもっとハマるに違いない。