もうとっくにお彼岸は過ぎましたが、
小学生のときの思い出をひとつ
小学校4年のとき、K君は小太りの優しい男の子でした
彼はある日、国語の授業で失敗をしてしまいました
教科書の一部を、立って読んでいたときに、
「暑さ寒さも彼岸まで」というところを、
「暑さ寒さもひがまんで」
と、読んでしまったのです
彼のかわいい雰囲気も手伝って、教室内は爆笑の渦に、、、
そして彼は「ヒガマンデー」と、呼ばれるようになりました
そう呼ばれると、顔を真っ赤にして
「やめろよ~」と言うのですが
彼が本気になって嫌がれば嫌がるほど、みんな
「ヒガマンデー」と呼んでしまいます
そのうち「ヒガ」がとれて「マンデー」となったり、
「ヒガマン」となったりしました
数か月後、彼は抵抗をあきらめ、
マンデー!と呼ばれると、「はいよ~」と応えるようになってしまいました
1年ほど前に、彼に30年ぶりぐらいに会いました
同級生数名と呑んだのですが、
呑みながら、「うちの学校ってさ、イジメってなかったよね」と誰かが言ったとき、、、
彼は言いました「俺、いじめられたよ」
「え?そうだったの?誰に?」と聞いたところ、
「お前らに」というのです
そんな覚えはないので、
「また~、変なこと言うなよ~」と言いつつ、
まさか、、、、と思い、聞いてみました
「ひょっとして、ヒガマンデーって呼ばれたこと、恨んでるの?」
彼は、静かに、ゆっくりと、深く、首をタテにふりました
ま、いいか
今さらとりかえしつかないし、あははははは
と、思っていたら、
仲間の一人が、「すまん!」と叫んで、
居酒屋の座敷で土下座をしました
それにつられて、みんなで土下座しました
「まあ~、昔のことだから、もういいけどさ~」
と彼が言うやいなや、
誰かが言いました
「ごめんな、ヒガマンデー!」