日本人と結婚して僕の町に住んでいたんだけど、旦那さんはすでに亡くなっていて、故郷には帰れない事情があって、一人で住んでいたらしい。
当時は子供だったので、その辺の事情はよくわからなかったけど。
僕はそのおばちゃんと仲が良かった。
(えっと、実は美人だったのである。言い訳はするまい。)
で、食べさせてもらったのである。
リアルなキムチをである。自分で漬けたのだとおばちゃんは言っていた。
うま~い!と叫んでしまった。
世の中にこんなうまいものがあるのかと、当時10歳ぐらいだった僕は思ったのだった。
(もちろん辛かったけど。)
こんなものを自作できるこの人は、きっと天才に違いないと思った。
しかし最初はおっかなびっくりだったのだ。
強烈な匂いだったし、赤さがなんとも不気味だったから。
それからしばらくたったある日、母親の買い物に付き添った僕は、スーパーで「朝鮮漬」と書いてある漬物を発見した。秋本食品という漬物メーカーが作ったものだった。当時はキムチという名前はまだ広まってなかったのだ。
すかさず母親に頼んで買ってもらった。
ところがそれは偽物で、白菜の漬物ににんにくと唐辛子でそれらしく味をつけただけの代物だったのだ。
それから何年後だっただろう?
急速にキムチが広まっていったのは。
いろいろ買ってみた。韓国直輸入のものも食べた。川崎のコリアンタウンにも行ってみたりした。
どうもね~どれもちがうんだよな。
記憶の中で美化してしまっているのかもしれないど、あの味じゃないんだよな~~~。
人生で最高のキムチを食べさせてくれた、あの美人のおばちゃんは、いつのまにかどこかに引っ越していた。
今もどこかで元気で暮らしてるのだろうか?。たぶん90歳は超えていると思うが、、、。
そういえばアリランという歌も教えてもらったんだっけ。。。。
うわ~懐かしい!
・・・
実は今日、すき家のキムチ牛丼を食べたんだけど、キムチがあんまりおいしくなかったのでがっかりしてたら、こんなことを思い出してしまったのだ。
いまのところ、お気に入りのキムチは、
東海漬物の「こくうま」
近所のスーパーで買えるんだ。
日本人向けの味にしてあるらしいから、おばちゃんのキムチとは全然違うんだろうな。
ん?。おばちゃんの旦那さんは日本人だったから、日本人好みに作ってたのかも。辛さも控えめだったんだろうな。子供に食べさせるぐらいだから。
さて、キムチとチーズをつまみながら、安い酒でも飲むかな・・・・
