
「和尚さん、今日もみよこちゃんと一緒ですか、ここのところよくお出でになって」
「うむ、今年はちゃんとお前さんがたの仕事をな、この子によく見せてやりたいと思うて、これからきっと秋に米ができるまで、この田んぼの周りではいろいろなことが起きるじゃろうから」
「おじいちゃん!」
みよこが、畔の下につくられていた苗代を指さしました。
「おお、もう苗が伸びてきとるじゃないか」
「ええ、ここ二、三日で急に」
「なんか可愛いねぇ、おじいちゃん」
「霜が降りんといいがのぉ」
「和尚さん、おっかねぇこといわんでくださいよ」
「おっかない? 霜が?」
「だよ、みよこちゃん、苗はなぁ、霜が大嫌いなんだ」
「でも、もう霜なんて降りないでしょ?」とみよこが言うとおじいさんが
「そうとも言い切れんぞ、八十八夜の別れ霜と言ってな、そこを過ぎればさすがにもう霜の心配はなくなるんじゃが、八十八夜まではまだ何日かある」
二十四節気”穀雨”の次候
『霜止出苗(しもやんでなえいずる)』〜 四月二十五日から四月二十九日頃
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※ 2018年、『七十二候ものがたり』を始めるに当たって綴った思いはこちら。
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引用元:霜止出苗(しもやんでなえいずる)