Book003 とりつくしま 東直子 河出書房新社

もともとは歌人である著者の2冊目の小説です。

デビュー作の『長崎くんの指』も

独特な世界観でいい作品でしたが、

今回の作品はまた一段と……、という感じでした。

『とりつくしま』で書かれているのは、

人の“執着”について。

人は何かにとらわれずには生きられないし、

執着があるからこそ、人と人との関係は面白いのでしょうし、

人が人らしくいられるのかもしれません。

執着するほど何かを強く思うということは、

とてもエネルギーがいることだし、

苦しく、切ないのだと思います。


苦しくて、切ないけれど、それでも思わざるを得ない、

そんな存在に出くわすなんて、

生きているうちにそうそうあることではないと思うから、

私はそういう存在に出会ってしまったときには、

思いっきり執着してしまうことにしています。

この本に登場する、主人公たちのように。

私が、東さんの本を読むときに考えさせられるのは、

表現における“文字数の制限”についてです。

短歌は「5・7・5・7・7」という制限の中での表現です。

小説には文字数の表現はありません。


文字数の制限から自由になったとき、表現がどう変わるのか?


そんな視点を持ちながら、この小説を読んでみるのも

一つの楽しみ方かもしれません。

これからも、数少なくても執着せずにはいられないようなものたちを

大事にしていこう宣言!を私にさせた1冊でした。