森を開ける。
まだ、眠っている森に近づいていきます。
皆さんをお迎えする前のギャラリーの扉に、朝の陽射しを受けた木立の影が映り、廊下いっぱいにやわらかい光があふれている光景……。
まだ誰も訪れていない、森が目を開ける前のこの空間を目にできるのは、鍵を開けるユウコさんとえみなさんだけの特権です。
この光景も、この日が最後だと思うと、えみなさんは光をまるごと抱きしめたいような気持ちになります。
まずすることは窓を開けること。
お客さまがいらっしゃるときは、窓を閉めてストーブを焚いているので、窓の外の景色は見えませんが、ギャラリーは木立に囲まれています。飛び交う鳥の姿や声が聞こえます。
タイムスリップしたような空間が夢のように残されているのです。
朝は、全ての窓を開け放ち、風を招き入れ、光を浴びた木々の姿を目にすることができます。
ユウコさんの描いたフクロウの絵の傍には、大きな木があります。
夕方になると、傾いた陽射しの加減で、木の影がフクロウの絵のまわりに落ちてきて、本当に森の中に羽根を広げたようになるのです。
(ユウコさんが送ってくれた写真)
初日にそれを発見したユウコさんは、興奮してえみなさんにそのことを教えてくれました。
陽射しがその角度になるのは、一日のうちで少しだけなので、目にすることができた人は、そんなに多くありません。
しかも夕焼けの時は、白い壁が茜色に染まるのです。
フクロウの羽ばたきが、森の中いっぱいに拡がってゆきます。
(ぜったい、夜は、絵から抜け出して飛び回っているよね)
えみなさんは、そう思っています。
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最終日。
そう思うと、ひとつひとつ、目に焼き付けておきたくなります。
きっと、今はすましているこの子たちも、夜は絵から飛び出して、思いっきり遊んでいるのだろうなあと思いつつ、えみなさんは、ゆっくりと歩きます。
窓を開けたままの、目を覚ましたばかりの誰もいない森。
お客様たちが入りだすころとは、違う顔をしています。
ユウコさんだけに、えみなさんだけに、語りかけてくる森の声。
その声に耳をすますことも、二人だけの特権です。
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さて。
今日の朗読会&お絵かき会のために、ベンチをひとつこしらえました。
作ってみると、とてもいい感じで、もっと早く作っておけばよかったと、ユウコさんもえみなさんも思いました。
ここに座ると、「風」のコーナーから、「ともだち」コーナーのユウコさんの絵や大好評の「霧の森」の絵(正式なタイトルがあると思いますが、ぼくはこう呼んでいます)や「言葉の雨」が一望できます、すわりごこちもとってもいい。
ここに座って、絵やことばを見ながら、ゆったりしてもらいたかった人がたくさんでした。
特に前日の土曜日は、座っていただく場所もないくらい、大賑わいだったのです。
そういえば、美術館に椅子はつきものですね。次は最初から作っておきます。
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今日の朗読会の主役は、ユウコさんと、えみなさんと、
ジャーン!
ユウコさんの手作りのライアーです。
合宿形式のワークショップで、木を切るところから始めるそうです。
できあがったライアーは、自分の子どもみたいに愛おしいそうです。
「風のライアー」という名前だそうです。
赤ちゃんを抱っこしているみたいですね。
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準備ができて、一息ついていたら、カフェの奥さんが、奈良からの出店があると知らせにきてくれ、さっそくユウコさんとえみなさんは、庭にでかけていきました。
まるでお話の中のお菓子屋さんのようです!
何から何まで、この地は絵になります。
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ふたりで、ライアーの音響入りで最後までやるのは、初めて! という、ぶっつけ本番。
でも、
〈絶対うまくいく!〉
という確信があったので、ぜんぜん平気のユウコさんとえみなさんでした。
とはいえ、えみなさんは、まじめなので、ヴォイスヒーリングのワークショップと、朗読のカルチャースクールに一回ずつ行ったのですけどね。ちゃんと、「あめんぼあかいなあいうえお」もやりましたよ。
このときの話もブログに書こうと思っていたのにな♪
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朗読会のあとは、おやつタイム。
物語の森で大好評を博した木の枝をくださった、セラピストの聡美さんが、木を伐採した畑で取れた八朔のケーキとクッキーの差し入れをしてくださいました!
ていねいに、クリスマスカラーのラッピングまで。
あんまり素敵で早くお配りしたくて、どっさりあった時の写真を撮り忘れてしまったので、これは分けたあとの残り(汗)
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おやつのあとは、お絵かきタイム。
この日は、子どもがたくさん。
ひとり、おじさんがいます。しかも、やたら絵がうまい。だれだこれ。
そうです。てんちゃんです。ぼくと名前が似てますね。
てんちゃんのトモダチは、なかなか、強気な表情です。
えみなさんにちょっと似てますよね。
てんちゃんのタッチとは対照的な、やさしいタッチは、コツメちゃんのトモダチです。風のようなタッチです。コツメちゃんは、漫画家になりたいそうです。
「きみのトモダチ」を読んだとき、なかなか絵を描いてくれなかったけど、コツメちゃんに、こんなに素敵なトモダチがいると知って、えみなさんは、とっても誇らしい気持ちです。
ぼくより、ずっと男前だな。
ちいさいひとたちは、とっても思いのままです。しだいにエスカレートしていきます(笑)
おかあさんのトモダチです。
またまた、ちいさいお客様が来てくれました。グレースちゃんです。
グレースちゃんは、バイキンマンが大好き。
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子どもたちが帰ってしまうと、ぱたりと静かになりました。
ユウコさんと二人でゆっくり話す時間。それは森からのプレゼントのようです。
印刷したブログをめくりながら、「てんけん」の記録をたどったり。
芳名帳をめくりながら、来てくださったお客様たちのお話をしたり。
お互いをほめあったり。
これからのことを話したり。
森とこの場所がどんなに素敵かを何回でも話したり。
長い道。
必要な時間でした。
なんて楽しかったのでしょう。
なんてたくさんのギフトをいただいたのでしょう。
そして、2015年を、この森で終えることができて、ユウコさんとえみなさんは、感無量です。
最後のお客様は、きゃらめるさんと、そのオトモダチ。
きゃらめるさんがオトモダチにも物語の森を味わってほしいと、おふたりのデートコースに組み込んでくださったのです。
きゃらめるさんは、三回も来て下さいました!
ユウコさんとえみなさんに次ぐ出席率です!
きゃらめるさん、さては下見ですね。次は、ここで個展ですね♪
ぼくたちも、応援しています。
***
森の夜。
お茶椀を片付け、ポットを洗い、ストーブの火を止め、電気を消します。
(また、明日。また土曜日ね。)
そう言って手を振った森が。
眠りについても、また目覚めてくれた森が。
まっしろ。
どこへ行ったのでしょう。
森は? 風は? トモダチは? 色は? ことばは? かいじゅうは? 愛は?
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そう、今は、あなたの中へ。
ティン&あき
ご来場くださったみなさま、応援してくださったみなさま、ありがとうございます。
たくさんのお客様が集ってくださった「森の昼」も書きますよ。
番外編も。
ユウコさんとえみなさんのてんけんも、しばらく続く予定です♪
楽しみにしていてくださいね。
さらに追伸。
ユウコさんのごあいさつのブログです。 → ★★★

































