「……失礼します」
俺は普通に節度をとって部屋に入った。
信長はそこにどっしり座っていた。
「来てくれたか… 今回は話があって来てもらった」
話がなかったらすぐ帰りますけどね
「次の戦で伊崎に働いてもらう」
ある程度想像していたが、やはり言われるとどっしり来る。
「次の戦では伊崎に合図を頼みたい」
合図係か…… 殺される可能性もありそうだ…
「……今回は断ってもいいぞ 途中で逃げられてもそっちの方が怖い」
俺はどうするべきなんだろう……
でも…生きるためには…
「やります」
俺はここで決めた。
決めた理由は意外に簡単だったかもしれない。
「うむ、なら明日の朝に出陣だ」
「もう…いいですか?」
あれからしばらくたって俺が言った。
市さんの着物もだいぶ乾いてきた。
「うん… ありがと…」
市さんは俺から離れて着物の乾き度合いを確認していた。
乾かなかったらずっとあれだったのかなぁ…

「ちょっと伊崎君、こっち来てくれない?」
襖を隔てて憑神が読んだ。
久しぶりに聞く声だな…
「はーい」
俺は難なく立てた。
いつの間に治ったんだ?
「大丈夫?… 支えてあげた方がいいんじゃ…」
「いや、多分大丈夫です。 この通り、しっかり動きますから」
そういって俺は小走りで憑神のところに向かった。

「体の調子はどう?」
「あぁ、さっき良くなりました」
「さっき?」
「えぇ、前まで足すら動かなかったのに、今では体が軽いくらいです」
「そんなに? 人間はすごいなぁ…」
「憑神たちは怪我とかするの?」
「うーん… 方法によっては怪我をするけど、基本はしないよ。
私たちの体は有るようで無いから」
「へー… 所で、何で呼んだんだっけ?」
「あぁ… 実はこれを渡したかったんだ」
憑神からお守りみたいなものを渡された。
「なにこれ?」
「お守りだよ。 かなり効果的だから!」
「そうなんですか… ありがとうございます」
信じがたいが、要らないわけでもなかったので貰うことにした。

「伊崎さまー! 信長様がお呼びですよ!」
何で信長様が?
まぁ、いいや 治ったことだし…