傘。私が濡れないように傘を差してくれる。雨に濡れた木にぶつかりそうになる私を、ちゃんと引っ張ってくれる。二本あるのに一本でいいよねって。二人で相合い傘して寄り添って歩いた。変わりゆく町を眺めながら。あのときできなかった事ができていること。あのとき触れられなかった優しさに触れていること。ふつふつと湧き上がる安心感に、わたしは慣れてしまいそうで怖い。大切にされているって、こう言うことを言うんだろうな。