薄くなった砂煙をまとうロンが偉そうにポーズを決めて立っています。
「こいつを見てみなよ、ミィ。なんだか、わかるかな?わかるかな?」
ミィは一段低くなった、石のあった所を覗きこみます。
「ロン、これってなに?ひどく大きい石っていうのはわかるけど。」
ミィにはロンの持っている答えがわかりません。
「これはね、ミィ。なにかの建物だと思うんだ。大きな石ってのも間違っていないけどね。」
「建物?」
「そうさ、建物の、一部なんじゃないかなと思うんだよね。」
石をよく見ると、確かになにかの建物の一部にも見えます。
それなりに規則正しい角や直線を備えていたからです。
「多分、門とか塀とか、そういうものの一部だね。全部掘り出していないからわからないけれども。」
長く砂に埋まっていたそれは、砂や風に侵食されて、あちこちボロボロになってはいましたが、
遠目に見ると、確かに人の手が加わっているとわかります。
「ミィがほら、さっきまで凭れかかっていたその大岩も、多分これと繋がっているんだよ。」
「へぇ、ロンすごいわね。まるで発掘家みたい。」
へへん、と鼻をならすロン。
「それだけじゃないんだよ、ミィ。」
「えぇ?まだなにか発見があるの?」
「それはそうさ、簡単なことさ。いいかい、ミィ。よく考えてごらん。」
ミィは考えることはしないで、ロンの説明を待ちます。
「いいかい?こういうものがある、ってことは?この辺一体は町だったんじゃないかな、ってことさ。」
これが仮に門だとしても、この様子ではと、ミィは考えます。
「町…。あったとしても埋まってしまっているんじゃない?。」
「それは、それはわからないよ?一部が埋まってるだけかもしれないし。一部が埋まってないかもしれないよ。」
「町じゃなくて、ただの一軒家かも。それともただ、門があるだけってことも考えられるわ。」
他の可能性を提示する、ミィ。
「門だけ!?門だけだって?そんな馬鹿な門があるもんか。ただそれだけなんて。」
ロンはやれやれ、といった調子で首を横に振ります。
そんな様子にミィはちょっとカチンときました。
でも、ミィは「私は大人なんだから」と言い聞かせて、ロンに提案します。
「とりあえず、ちょっと近くを探してみましょうか。」
ミィは休んだので、元気が戻ったのです。
ロンと言い争いを始めたって疲れるだけだし、あの口数の多さには勝てる気がしないわ。
「そうだね、それがいいよ、確かめるのがいい。」
ふふん、と鼻をならすロン。意気揚々と歩き出します。自信に満ちた足取りで。
自分の想像を的確なものにしたいのか、何か面白いものを見つけたいのかはわかりませんが。
ロンは発掘家というより探検家ね。探検家というより好奇心に満ちた猫ね、そうミィは思いました。
いつか、危ない目に遭うんじゃないかしら、とも。
「ん?どうしたんだい、ミィ。早く行こうよ?」
ロンが気づいて聞いてきます。首だけヒョコっとこっちに向けながら。
「なんでもないわ、ロン。あなたはもう少し落ち着いてもいいんじゃないか、って思ってただけ。」
ふふ、と微笑むミィ。
「そうかい?俺っちはいつでも冷静沈着、クールなつもりだけど。」
ロンは首を、ぐにょんと横に傾けながら、腕組みをして考えこんでしまいます。
「そうだね、でもそうかもね。ちょっと落ち着きがないかもね。でも、それも仕方ないよ。俺っちは俺っちだもの。」
ロンは数秒だけ考えた様子でしたが、すぐに別の思考に移ってしまったみたい。
「さぁ、ミィ。ちょっと周りを探しに行こう。」
頭を切り替えたように見えたロンは、結局身体がさっさと動き出してしまったのかもしれません。
おかしなロンについていく、ミィ。
果たしてなにかが見つかるのでしょうか、こんな砂しかない場所で。