物理ⅠA、数学Ⅱ、現国、公民、昼休み、選択科目×2h、ホームルーム。
本日のスケジュール。現在62%を消化。
昼休みはいつも、友人3人と一緒に昼食を食べる。私の机と吉田の机を2つ繋げて、4つの椅子で囲む。
今日の話題は、専ら私と毬栗が主役となる。吉田と沢森は原因追求の手を休めることはなかった。
福田だけが、我関せずといった感じで黙って聞いている。福田はとてもクールだ。
斜に構えているというか、皮肉屋というか。それがとても似合う子だ。
朝も、吉田と沢森が同情的な言葉をかけてきたのとは対称的に、なじってきたのはこの福田だ。
「福田はどー思う?」
「絶対なにかあったよねー?無きゃ嘘だよ。」
という二人に対して、
「別にどうだっていいじゃん、んなこと。」
と一刀の元に斬り捨てる。カッコイイぞ、福田。
「えー。」
と、二人。
この二人は二人で波長が合うというかウマが合うというか。連帯感も結構だがね。
「それじゃつまんないじゃん。」
「そーそー、話が終わっちゃう。」
終わってくれ。誰かこいつらの口に戸を立てられるものはいないのか。チャックでも可。
「吉田、オマエ、西高のカレのこと冷やかされたいか?」
「う。」
「沢森、原口が授業中ずっとオマエのことみてたぞ?」
「ぇ!は、原口なんて関係ないじゃん!何言ってんの!!」
「そーゆーことだ。」
姐御、サイコーです。もっと言ってやれ。このユニゾン精神姉妹どもに。
ちょっとシュンとなる姉妹。少しこっちに引け目が生まれてしまう。
あの毬栗とやましいコトなんて、1ナノメートルもないのだけれど。
「で、実際どーだったんだ?ん?」
今、私は遥か時空を超えて、カエサルと一体化した。
「おまえもか。」
ぶり返される話題。繰り返される歴史の悲劇はエンドレス。
結局箸が転がって笑える年頃の乙女は、どいつもこいつも一緒って訳。
いや、元気をなくしてしまった二人のフォローする姐御の気遣いだよ、きっとそう。そう思うことにする。
だが、姐御の真意の見えぬ?気遣いも、私の憂慮もお構いなく、意気消沈から急速浮上する姉妹。
勢いを取り戻す。いかん!なんとかして止めなければ。
「ねぇ、もう10分前だよ。教室移動しなきゃ。」
次の授業は、選択科目。私たちはみんな美術コースを選択している。
そして、美術室は4Fの一番隅だ。それなりに時間はかかる。
早く行ったことに越したことは無い。そうに違いない。
勉強意欲に燃える私。真面目な生徒だなぁ。
「あー、誤魔化した。」
「やっぱり、あーやーしーいー。」
なんで、何にもないことをここまで言われなければならないのか。泣けてくる。
いっそ何かコトを起こしておけばここまでみっともなく繕わなくても済んだのかな。
・・・。
ありえない。
「ま、ボチボチ行くかね。」
福田が場を締める。私たちが席を立つと、同調したようにチラホラとクラスメイトが移動し始める。
他所のクラスの子は教室に戻る。
ザワついた昼休みの空気はそのままに、流浪の旅人たちは各々の目的地に向って歩き出す。
授業という現実に引き戻されていく。