お腹が2回なるほど歩いて、4回くらい転んで歩いたあと、村は見つかりました。
でもそれはもう村ではありませんでした。
村の形をした村でないものになってしまっていました。
とても悲しい、寂しいものに成り果ててしまいました。
「ロン、ここもう誰もいないんじゃない?」
「そうかもね。おかしいな。前に来た時は、みんないっぱいいたのにな。」
建物は全て崩れ去り、木々は枯れ朽ちていて、広場は荒れ果てていました。
”ようこそ、砂漠の始めのオアシス、グィユルへ!!”
そう書かれた看板が、無残に地面に転がっています。
「ああ、ああ、仕方ないか。世界は終わりに向ってるんだものね。」
「そうなの?」
「おチビ・・・ミィは知らないのかい、終しまいが来るのが。じゃぁ、お終いの天使も知らないのかなかな?」
いっぱいの時間をかけ、根気良く訂正を続けたのでロンも要約ミィの名前を”おおよそ”覚えてくれました。
この村へたどり着くまでの疲労感は、その訂正によるものだな、とミィは思っています。
「知らないわね。お終いの天使って?」
「お終いの天使ってのはね、とても最悪なんだ。あいつが世界を終わらせちゃうんだよ。迷惑な話さ。」
ロンは悲しそうです。悲しそうで、震えています。
「ちょっと前までは、あいつはいなかったのに。世界がこんなに変わっちゃったのはあいつのせいさ。」
今度は怒り出します。
「そうか、だから私が見てきた今までも、まったく知らない感じになっちゃっていたのね。」
ミィの住んでた森から遠ざかるに連れて、どんどん見知らぬ風景になっていったのはそのためだったのです。
「そうさそうさ、あいつが全部を終わらせちゃうのさ。」
もっともっと怒ります。ロンは本当に感情表現が豊かだなぁ。
「でもなんで、お終いにしちゃうんだろう?」
ミィは不思議です。お終いの天使とやらが何者かはわかりませんが、なんで世界をこんな風にしちゃうんだろう。
「そんなの知らないよ、あいつが何を考えてるかなんて、俺っちは知りたくもない!」
「ふーん、そっか。でも私、森に住んでたからそんな話、まったく知らなかった!!」
ミィはお終いの天使が何を考えてるのかとても知りたくなりました。
でも、パパとママを探すのが第一なのは変わりません。
「さぁ、ロン。どうしようか、ここはこんなだし…。」
途方に暮れてしまいます。でもロンはそんなことはお構いなしみたい。
「うーんうんうん、どうしようか。でも幸い、誰もいなくて、村がボロボロになってる。それだけさ。」
「え?」
ロンはミィの周りをピョンピョン飛び跳ねます。
「探そう、ミィ。必要なものを集めるんだ。」
「いいのかしら、黙ってそんなことして。」
「だってだって、誰もいないよ。誰に断ったらいいのさ。」
「そうね、ちょっと悪いけど、仕方ないわね。」
ミィは少し悪いかな、なんて思ったりもしましたが、ここに留まってはいられません。
パパとママを探しに行かなければ!
ミィとロンは砂漠を渡るのに必要なものを、使えそうなものを探し始めました。
ボロボロのグィユルにすぐ隣にあるゴンド砂漠は、全てのものを拒むかのように
砂礫と熱気を含ませた風を、ただただ吹かせ続けています。
その風は、寂しそうで恨めしそうな咆哮のような音を立てています。