ミィは小さな家に住んでいます。
ミィは一人で其処に住んでいます。
パパは、お仕事にいったまま。
ママは、パパを捜しに行ったまま。
だから、ミィは一人です。
寂しくなって、泣きたくなって、
ミィはある日、家を出ました。
「パパとママを捜しに行こう。」
瓦礫の山を越えて、荒廃の原野を抜けて、
ミィは旅をします。
けれども、誰にも会えません。
それでも、寂しくても、泣きたくても、歩きます。
どこかにいるパパとママを探して、歩きます。
焼け爛れた台地の、枯れはてた森で、一羽の禿鷹に会いました。
ミィは、問いかけます。今まで誰にも会えなくて、寂しくて退屈だったのです。
「私はミィよ、あなたは誰?」
禿鷹は答えます。
「ワシは亡者さ、死者を喰らう亡者だよ。」
うっすらと朱に染まった嘴をカタカタ震わせながら、低く笑っています。
しかし、その瞳には光がありません。まるで樹のうろの様な、どんよりとした瞳です。
「お嬢ちゃん、あんたが死者になったその時に喰ろうてやるぞ。」
ひひっ、と意地悪く言うと、その場から飛び去っていきました。
ミィは、禿鷹の言ったことがよくわかりませんでしたが、とても怖かったことはわかりました。
こんな森にはちょっとの長居もしたくありません。
ミィは、歩き続けます。森を抜けた先に広がる世界は、相も変わらず荒んだ台地でした。
パパとママと、一緒に出かけたウロググ高原のような緑は、どこにも見あたりません。
本でいつか見た、ニル荒野のような景色が際限なく広がっているだけです。
ミィは、ウロググ高原でのピクニックを思い出して、悲しくなりました。
目の前にはあの景色もなければ、傍には一緒にいたパパもママもいないのですから。
少しの間泣いて、でもそれで止めにしました。泣いていても、誰も慰めに来たりはしてくれないのです。
ミィは痩せこけた台地を歩きます。枯れ絶えた、逆様な蒲鉾形の溝となった河を歩きます。
その横に並び続ける、風化した民家の瓦礫の上を歩きます。