『 ”光りあれ―”と、唱えた人が居たかどうかは、今を生きる私たちにはまったく関係のないことで―――。
素晴らしい主義や思想も、何通りもあったら台無しで、それが違うだけでお互いの足を引っ張りあっている。
それが地球的規模であろうが、星間規模であっても、銀河系規模かもしれなくても。
その事象の担い手は、ヒトと呼ばれる動物たちの群れ。その群れの中で、私達が生きている、この「今」―――。
ドアを叩く音に続いて、母の声。夕食の支度が出来たようだ。
すぐ行くと、適当に返事をする。
「丁度ノってきた所だったのに。」と毒づきながら、端末に開いているウィンドウを
一つ一つ閉じていく。最後に残ったのは、広告と日記の画面占有率が50:50のコミュニティサイトのウィンドウだった。
書きかけのまま放置していたサイトの日記に一文を足し、更新ボタンを押して端末をシャットダウンする。
もう少し堪能したかったが、夕食を食い逸れることはできるだけ避けたい。
椅子から立ち上がり、ダイニングへ向かう。
廊下にでると、階下から漂ってきた匂いが、今夜の献立を知らせてくれた。
『―――そして、大半のヒトはそんな大袈裟な「今」よりも、身近な「今」の秩序を取り繕うのに精一杯だ。』