心の避難所

数年前から定期的に通っているクリニックでお世話になっていた医療従事者のお姉さん。毎回会ってせいぜい2,3言、ことばを交わすだけだったが、なんとなくある時から『何か話したげ』な空気を感じていた。ある日のこと、ちょっとしたきっかけでそれは起きた。たまたま振られた話を返したところから彼女の悩みを聞くことになった。

 

彼女はうんと若い世代、それでもいまだにある性別や年齢による就職、転職差別、キャリアアップを阻む数々の妨害・・。彼女の話を通して、この国の時代遅れっぷりに呆れるやら怒りがこみあげるやら。ひとしきり話された後、はっとされて『すみません、こんな個人的な話をしてしまって』と恐縮されていた。悩みを聞くのは苦痛ではないので気にならかった。心なしか、以前の思いつめたような表情が和らいでいるように見えた。

 

時には親しい人や家族よりも、全くの赤の他人に悩みを聞いてもらう方がよいのではないかと思う。しかしそれをそうそうできないから苦しいんだと思う。

 

本来は親しい人や家族に話せれば一番いいと思うのですが。

身近な人に相談しにくいと考えるのは日本人特有なのかもしれない。家族や親しい人の前でも『装わなければならない自分』がいるように感じる。『迷惑がかかるから』『悩んでいる姿を見せたくない』などという言い訳を携えて。

 

以前、知り合いが言っていたことを思い出す。

 

『真の友人っていうものは一緒にお昼を食べたり、遊んだりするだけの関係の人ではなくて、あなたが困っているとき、いつでもどこからでもかけつけてきて、悩みを親身になって聞いてくれる人のことだよ。』

 

これに尽きる。

 

赤の他人からの悩みを聞いた経験はこのほかにもある。

それはまたの機会に話したいと思う。

 

 

 

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