父の乗る
霊柩車を
マイクロバスで追う。

火葬場は、実家から程近い場所にあったので、
道中車窓を流れる景色は、見馴れた地元の景色。

見馴れた景色が、余計に悲しい。

どこを見ても、父と過ごした日々がよみがえるから…。



火葬場に到着。


いい天気。
この青空へ父が旅立つ。





火葬炉へ入る父を見送る。



待合室に通されるが
落ち着かない。





そして、40分程して
収骨室に呼ばれた。


骨になった父を見るなんて、辛すぎるよ…。
見る自信がなかった。


家族が始めに、奥の部屋に通される。


台の上には

粉々にしたのか、粉々になったのか

父の骨は、もう人の形は
していなかった。


これがお父さん…


呆然とし、何の言葉も出ない。


ふと、目に入った骨の欠片。
そこに形を残していたのは
一本の歯。


父は、下唇を落として笑う。
その、見覚えのある一本の歯は、
父の下の前歯だ。

たった一本の歯なのに
これは間違いなく
父のものだと
分かる。


お父さん…


もっとショックを受けると思ったけど

あんなに父を苦しめた癌が、跡形もなく燃えてなくなったから

癌に対して
ざまぁみろ
と思った。


父は癌から、解放された。






母は、骨壺を抱え


「お父さん…重いよ…さぁ、家に帰ろ」


小さくなった父の重さを
抱きしめる。







お父さん。家に帰ろう。






こうして

癌との戦いが
終わった。