後5日って―

前日に、あんなに元気だっただけに

この状況が理解出来ない。

監視カメラ付きの個室。

ナースステーションの前を通ったら

モニターに父が映っていた。


モニターに映る父の姿は、私の知っているいつもの父とは

まるで、別人で…


癌に対する怒りで
頭がおかしくなりそうだった。


部屋に戻り
再び見守る。


父は
閉じてしまいそうな瞼を
片方の手の指で持ち上げ始めた。

か弱い力で、意識は朦朧としながらも瞼を持ち上げる。

もしかして…

このまま眠ってしまったら、死んでしまうと思ってるの?





死に立ち向かう父。





そうだよね。


生きたいよね。




呼吸が
だんだん激しくなって

苦しそう…


このままではと
鎮静剤を追加すると


父の意識は
更に遠くなり


呼吸だけになった。


コー… コー…
と言う呼吸音だけで


呼び掛けにも応じない。

でも、声は届いていると信じ

語りかける。




みんな、ここにいるよ。
ずっと居るからね。



最後の最後で、死への抵抗を示した父。



反応はないけど
きっと今も戦っていると思うから


頑張れ…