そして前回の続き―


父のベッドが、ゆっくりと病室に入ってきた。

あ!お父さん。

横になったまま、父はこちらに顔を向けると。。。

○父『なんで帰ってないんだよっ!帰れって伝えろと言ったのに。。。』

父の様子がおかしい。

ベッドが定位置に戻されると看護師は出ていく。

そして、私は父に近寄り目線を父の高さに合わせた。
。。。なんて哀しい顔をしているんだろう。

そういえば、さっきナースステーション辺りで、父の声が聞こえた。

○私『どうしたの?検査で何かあったの?』

胸騒ぎが止まらない。


○父『肺がんって言われたぁぁぁ。。。だから帰れと言ったのに。俺は死ぬんだ。。。あああ。。』


まるで、頭を後ろから思い切り殴られたように脳が揺れた感覚で、父の言葉を理解するのに暫く時間がかかった。

嘘だ!家族全員そんな話し聞いてない!3週間も入院してたのに、そんな事言ってなかった!

私の心は、父の言う言葉がどうしても理解できない。
私は、父から目を反らすことが出来なかった。

恐怖と絶望に歪んだその顔は、今までに見たことのない父の表情。
悲しみに満ちた目は、見ているのが本当に辛かった。
でも、絶対に目を反らさなかった。

恐怖の闇に、父を独りぼっちにしたくなくて、父の目を見続けた。

でも、言葉が何も出てこない。。。

こんな告知ってあり?

今は、本人にはっきり言うらしいけど、時と場合によっては残酷だ。


父のあの声は、今もリアルに覚える。

肺がんって言われたぁぁ


悔しくてたまらない。
恐くてたまらない。
悲しくてたまらない。





そんなことはおかまいなしに、窓からは暖かい陽射しがキラキラと部屋を包んでいる。


やたら眩しい。


こんな日に。





でも、もし雨だったら。

もっと辛かったかな。