長谷川まりる くもん出版 2023.9.24
「杉森くんを殺すことにしたの」
高1のヒロは,義理の兄ミトさんに電話で告げる。
幼馴染で親友だった杉森くん(女の子)は,高1のゴールデンウィークの最終日に自殺してしまう。
自殺前,杉森くんはヒロにだけ執着していたが,ヒロはそれを重苦しく感じていた。
ヒロは,最後に向き合えなかった自責の念から,杉森くんが自分を殺す前に私が杉森くんを殺そうと決意する。
兄のミトに,自分がやりたかったことはちゃんとやっておくこと,杉森くんを殺さなきゃいけない理由を考えるように言われ,自分の気持ちに向き合い始める。
友人の良子さんが「ひとつのことに執着するのは,依存だけど,多くの人に依存(頼ることが)できるのは自立。」って言っててなるほどと思いました。
中学生から高校生くらいの人間関係や将来に不安がある子に是非読んでもらいたい。
わたしたちの何十年前の中高生のころと,今の中高生の悩みの違いがよくわかります。
繊細で失敗しちゃいけない緊張感のなかで,武装してるんだなあ。
今朝も東大の卒業生にインタビューするのをテレビでやってたけど,
賢いこと言わなきゃって,私は正しいんだって,一見しっかりして素晴らしいこと言ってるんだけど,ぎりぎり戦ってる感じがして見てるこっちが息切れしました。
失敗していいし,受け入れてもらえない場所なら他で受け入れてくれるとこを探せばいい。
いつもいつも勝ち組でいる必要はないよと大きい声で伝えたい。
この本は自死や自傷をしようとする人にどう対応すればいいか。
悲しいことに,大切なひとをなくしてしまった人に,どう寄り添えばいいかを考えるいい機会になると思います。
こんなに文章が長くなったのは,良書だからと思ってくださいませ。
おすすめです。
中学生からですが,小学校6年生でも十分読めると思います。