いろはの家にはパパママ同伴でお見えになるご家庭も少なくありません。最近は熱心なパパからの子育て相談も増えてきまた。先日、「子どもの褒め方」に関する質問がありました。はじめて立てた、はじめて歩けた。そんな瞬間に立ち合えた時は感激のあまり褒める方法を考えるよりも先に手放しで声をあげていたパパママも、小さなチャレンジに向き合う子どもへの声掛けに迷うことがあるのかもしれませんね。どれくらいの頻度で、どんなタイミングで、どう褒めてあげたら、子どもの「やる気」が育つのか。

保育の現場ではしばしば「等身大の褒め言葉」という言葉が使われていました。はさみが使えるようになった。紐をひっぱれるようになった。毎日できることが増えていく中で、毎回「〇〇ちゃん、天才だね!すごいね!パパ感激したよ!」と声をかけられたら、子どもはどんな気持ちがするでしょうか。声をかける親の気持ちが100%本心でなければ、子どもは見抜きます。モンテッソーリは「賞賛と罰」で子どもを動かしてはいけないと言っています。褒められることが目的でおしごとをするようになる。あるいは、怒られないように、上手にしなくちゃ、と心が急いてしまう。どちらも子ども自身から湧き上がる「やりたい心」を削ぐものだからです。モンテッソーリ教師は淡々と見守り、できないところだけを分析して手本を見せ、その子のできる力を導きます。ご家庭では「できたね、〇〇ちゃん」というくらいにとどめるのがよいでしょう。もちろん、何度も何度も挑戦していたことがある日、やっと出来るようになった時は子どもといっしょに喜んであげてください。本心から生まれた褒め言葉なら、子どもは喜んで受け取ります。自分の足で歩けるようになったばかりの子は

「もういいんじゃない?」と親の方が音(ね)をあげるほど、歩きたがりますが、ある程度歩けるようになると、頻繁に「抱っこ」をせがむようになる時期があります。

栃木には「自分の足が可愛くなったんだね」という表現があります。自分の足で歩くより、抱っこしてもらったほうが簡単だ、楽だと知恵がついたことをこんな風に喜ぶのです。
とはいえ、自分で歩ける足を自分でつくる時期に、「抱っこ」ばかりでは子どもの発達という目的から外れてしまいます。子どもは抱っこしてもらえるまで泣いたり、ぐずったりするので、ついつい抱き続けてしまうというパパやママも多いでしょう。こんな時は、賢くなったことを心の中で認め、「エレベーターの前まで抱っこするね」「パン屋さんの曲がり角まで抱っこするから、パン屋さんからはいっしょに歩こうか」と制限を設定して、提案するといいですよ。まずは「抱っこ」してもらうという希望がかなえられれば子どもは案外、満足するものです。さらに知恵がついて、抱っこの延長をせがまれた時の対処法については、また別の機会にお話しすることにしましょう(笑)。