卒園おめでとうございます。4月になれば新しい学期が始まりますね。新しい環境に慣れるまで慌ただしい毎日が続くと思います。今日はそんな新学期によくみられる子どもの変化についてお話したいと思います。新学期あるあるです。

 たとえば、こんなことはありませんか?「朝、幼稚園へ行くまでに、いつもより倍の時間がかかる」「ぼんやりしている時間が長くなった」「何をするにもやる気がないようにみえる」などなど。

とりわけ、いつもは頑張り屋さんの子や、よくできる子に多く見られるようで「なんだか最近元気がないようにみえる」と、実はお母さんからの相談も増える時期です。いろはの家におしごと*(モンテッソーリ教育では子どもの遊びをおしごとと呼びます。なぜなら、子どもの遊びは自分で自分を建設するための目的をもった大事な活動=おしごとだからです)をしにやって来る子に見られる特徴的なことは、年長さんになった子が入室と同時に年少さんの頃のおしごとを好んで選び、時間をかけて一通り終えてからいつものおしごとに戻る、ということがこの時期にとても良く見られるということです。たとえば、年少さんの頃に得意だった窓ふき。窓に霧吹きでたっぷりのお水を吹きかけ、ワイパーで大きく腕を上下させながら一生懸命窓を磨いています。きれいに磨き終わると、すっきりした表情をしていつものおしごとに戻るのです。そこではじめて、少し難しいおしごとに挑戦できるようになります。ちょっと前の自分が得意だったおしごとに集中することで心を落ち着かせているようです。下のお子さんが生まれた時なども同じようなことが見られます。大人はしばしば「赤ちゃんがえり」と勝手に決めつけてしまいがちですが、これは、子ども自身が自分で心のザワザワを鎮めるためにとても大事な時間といえます。なぜなら、子どもたちはその時間の中で「心を緩めている」からです。新しい環境に慣れるのは大人だって大変なこと。小さな子どもなら、なおさらです。ピーンと張り詰めた緊張が長く続いてしまうと、心も体も伸び切ったゴムのようになってしまいます。子どもたちは小さな心の中の大きなざわめきを解放するために、いつもより倍の時間をかけて身支度したり、ぼんやりしたりするのです。もちろん、子どもはそうしたことを意識せずにしています。なまじっか、できる子なので、時間をかければいつものようにできてしまいますが、子どもの様子を良く見て(観察して)、「しんどそうだな」と感じるようなら、思い切って幼稚園や保育園をお休みさせてあげるのもいいかもしれません。なかには園にいくのが大好きでお休みするとかえってストレスになるようなら、いつもの倍の時間がかかっても、辛抱強く待ってあげてください。大きなジャンプをする前は少し体を屈める必要があるように。「心を緩める」ことはたいせつな成長のための「たわみ」なのです。