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パガニーニ 「カンタービレ M.S.109(アルバム「パガニーニ・フォー・トゥ」から)
Vn:ギル・シャハム  G:イェラン・セルシェル グラモフォン

 わずか3分あまりの小曲ながら、これほど美しくまた、いとおしくなる曲はないだろう。旋律の可憐さもさることながら、しっとりと心のひだに染み入るような佳曲。この曲に説明はこれ以上いらない。とにかく聴いてみて欲しい。

 この曲はヴァイオリンのアンコール・ピースとして演奏されることが多いようで現在入手できるCDもほとんどがピアノ伴奏によるヴァイオリン独奏である。だが、原曲はヴァイオリンとギター。この組み合わせでこそこの曲の真価がわかる。今、このスタイルで入手できるのは上記のCDのみ。検索してみると国内盤はすでに廃盤。海外盤もおそらく入手が困難だと思われる。買えないCDを推薦しても仕方ないかもしれないが、オークションなり中古CDショップを探してでも聴く価値は十分にある。

 私がこの曲を知ったのは、グラモフォンが優秀な録音(4Dシステムによる)を集めたサンプラーCDから。それまでは正直全く知らない曲だった。おそらく、ヴァイオリン&ピアノ版では何回か聴いているはず。しかし、全く記憶に残っていない。

 この曲の演奏はヴァイオリンが命。美しくないと全くこの曲の価値が出てこない。カンタービレ、歌うようにヴァイオリンが響かないと。その点、ギル・シャハムのヴァイオリンの美しさ、艶やかさは誰もが認めるところだろう。そして、セルシェルのギターがまたいい。これ以上ない、絶対的な安定感とヴァイオリンとのバランスがある。

 先ほど述べたように、この演奏はグラモフォンが優秀録音としてアルバムからシングルカットしたもののひとつ。オーディオで再生すると2つの楽器の位置関係はよくわかり、絶妙なミキシングで録音されているのが手に取るようにわかる。

 これは絶対お勧め。出来ればSACDで再販して欲しい1曲。