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 今でこそ筑豊本線は福岡・北九州地区の都市近郊路線の一部に取り込まれ、炭鉱地帯での石炭輸送というイメージは全く無いが、かつての繁栄の基礎になったのは「黒ダイヤ」と呼ばれた石炭。産業が栄えると人が集まり町も発展する。

 そんな状況の中で筑豊本線を走る優等列車も当然設定された。有名なのは「いそかぜ」を受け継いだ「かもめ」。SLブームと重なり、蒸気機関車との離合シーンなど数多くの傑作が残されている。急行では「天草」。冷水峠でのD60等の後補機が有名。

 しかし、蒸気機関車が消えるとともに筑豊の炭鉱もすべてが閉山し、筑豊は一気に寂れてしまう。筑豊のクィーン的存在であった「かもめ」も新幹線の博多開業とともに廃止。これで筑豊地区を走る特急はなくなるかと思ったら、夜行寝台特急がその代役を果たすこととなった。それだけのニーズがまだあったのか疑問だが当時の国鉄は筑豊を見捨てることはしなかった。

 写真の切符は、明星6号の立席特急券。列車名、区間、時刻、座席(号車)のすべてを印刷した完全常備券。立席特急券は利用できる区間が限定されるため完全常備券もそれほど珍しくは無いが、それほどの利用があったとは思われないこの区間での完全常備券は立派。