今日は、ほとんど座る事のない1日でした。足が疲労を訴えてきています。

帰りの電車では絶対に座りたいと思い願っていましたが、席は完全に埋っていました。

つり革に捕まり、前に座っている男性が次の駅で降りる事を願うばかり。


おっ

次の駅に停車する時、前に座っている男性が携帯の液晶から顔を外し駅のホームを見ています。

ひょっとしたら、降りるかも。期待が膨らみます。

座っている男性は、電車のドアが開いたと同時に携帯の液晶に顔を戻しゲームをやり始めました。


…降りないんかい。期待で膨らんだ何かが一気に萎れていくのを感じました。

停車していた電車が動き出します。座っている男性はゲームが上手くいっているのか笑顔で携帯を弄っています。

なんなんだー!

ふと、前の鏡に映った自分を見ると、ムンクの叫びの様な顔をしていたので、あくびをして誤魔化しました。

電車が次の駅に停車しようとすると、前に座っている男性がまたもや降りそうな素振りをしていました。

もう騙されないぞ。降りそうな雰囲気を出しといて降りないパターンだろ!

…なんだそのパターンは。などと考えていると、座っている男性が携帯をポケットに入れました。


まさか…降りるのか

電車が駅に停車して、座っていた男性が腰を上げました。

きたーーー!座れるっ!自分の足も座れる事が分かり、ふくらはぎの筋肉が緩むのが分かりました。

喜んでる!ふくらはぎも喜んでる!と訳の分からない事を思いながらも、これで座れる!と思ったら、前に座っていた男性が上げた腰を下ろしました。

いやっ下ろすんかーい!

携帯をポケットに入れて、腰まで上げたのに下ろすんかーい!そんなフェイントあるのか!

緩んだふくらはぎが、一気に硬直しました。


…無駄な体力を使ってしまった。

もう携帯をポケットに入れようが、腰を上げようが何も期待しないっ!

そう心に誓うのです


…が心のどこかで、降りるんじゃないかと期待している自分がいる。

今度こそ降りるんじゃないか、降りないと見せかけて降りないんじゃないか…いやっ降りないんかいっ!そんな事を考えていると、次の駅に停車しました。

座っている男性を見ると、腰を上げて立ち上がりドアの方へ歩いていきました。

えっ

きたーーーー!

空いた席にゆっくりと腰を下ろし、本日二度目のふくらはぎの緩みを感じ、全身の力を緩めて目を閉じて座る。



勝者になった気分でした。

全く勝ってはいないんですけど、そんな気持ちになり、満足げに目の前を見ると駅名が書いてあり、そこは自分が降りる駅でした。

んっ

プシュー

ドアが閉まり電車が発進していきます。

乗り過ごしたーー!

まさかの座った時が自分が降りる駅…



敗者になった気分でした。

座った席をすぐに立ち、次の駅で降りて逆方向へ乗り換えました。
乗り換えた車内は混んでて座れる筈がなく…立ちながら最寄り駅に向かうのでした。

帰り道で美味しいビールを買おう。