この人は、一年に一回新宿駅に現れて「さっき北海道から出て来たんだけどお金が無くなっちゃって。どうしても千葉に行かなきゃいけないんだよ。住所教えてくれたら、絶対に郵送して返すから3000円貸してくれないかな?」
と標準語で話してくるおじさんです。
一昨年、おじさんと沢山お話をして千葉まで初乗り料金で行けるから、千葉に着いたら友達に電話して迎えにきてもらってお金借りれば良いんじゃないという話をして初乗り料金を渡しました。
写真は、その時に撮ったものです。
もちろん信用してた訳じゃないですが、おじさんの熱意に負けて初乗り料金を渡しました。
去年の今頃も新宿駅にいました。
その時は、違う人に話し掛けてて「横浜から来たんだけど、千葉に行きたくて…」と言ってました。
そして今日。
おじさんは新宿駅にいて、僕に話し掛けてきました。
「さっき大阪から出て来たんだけど、お金が無くなっちゃって。でも、どうしても千葉に行かなきゃいけないんだよ。絶対に返すから、3000円貸しくれないかな?」
もちろん標準語でした。
「おじさん覚えてますか?一昨年に初乗り料金を渡したんですけど」
「えっ!?」
おじさんは、かなり動揺してました。
「前は、北海道に居たんですよね?今は大阪にいるんですか?」
長い沈黙があった後、おじさんは静かに僕に言いました。
「兄貴だな」
「え?」
「君が会ったのは、俺の兄貴だ」
「そうなんですか。かなり似てますね」
「よく言われる」
「今まで大阪に居たんですよね?」
「うん」
「標準語上手いですね」
また長い沈黙の後、おじさんが静かに言いました。
「新宿に二時間いて慣れた」
今日も初乗り料金だけおじさんに渡しました。
おじさんまた来年ねー
