最近、少しずつですが、江弘毅氏のエッセイ本を読んでいます。

 

江氏の「町的」であること、町の住人になること、というところに感銘を受け、

読んでいるわけですが。(ちなみに氏は町ではなく、街という表記をされています)
 

僕は京都の下町で育ったんで、町的とうのは理解はできるんですが

自分が町の顔を持っていたわけではないので、

というか、できているコミュニティに入っていくのが苦手だったので

そういう経験はしたことはありません。

 

せっかく時間もあるし、最近外食もしてないし、たまに外で昼ご飯でも食べよか、

と散歩途中で蕎麦屋に立ち寄ることにしました。

 

せっかくやし、久しぶりに「町」の雰囲気を味わえるような土地の食堂にしよか。

いろいろあるけど、昼下がりの中途半端な時間やし、麺類を食べよか。

暑いし、ざる蕎麦かざるうどんがええなあ。

 

歩いていたら「手打ちそば」のデカデカとした看板。

店前には年季のはいって少し曇ったショーケース。

 

安くてボチボチな蕎麦屋やろな、思ってショーケースの中を覗き込むと

 

「天ざる 1200円」

「割り子蕎麦 1800円」

 

値段的にまあまあ取るやん、と思い、

実は見た目と裏腹に結構自信ある蕎麦屋なんちゃうやろか?

とビビッてしまいました。

 

なぜなら、その数メートル先にも手打ち蕎麦の有名な店があり

値段もそれほど変わらなかったからです。

 

少し考えました。

 

天ざる1200円は蕎麦屋なら妥当な値段ではある。

「天ぷら」つけるだけで、値段は高めにしてもエエみたいな風潮あるし。

ただ、その天ぷらがハズレやった時の悲しみに耐えれれるのか?どうする、俺。

 

みたいなこと考えてたんですけど、

結局天ぷらはお店で食べるのがだいたい美味いし、

1200円出してスーパーの総菜みたいな天ぷら出てきたとして、

1度目の来店でアタリハズレが分かったら、何回も通って分かるよりも勉強代として安いやろ。

というのは置いといて、口が完全に天ぷらになってまして、ここに入るしかないわけですよ。

自分、いつも

 

ガラガラ…と入り口を開けると、カウンター席はなく、4人かけのテーブルが5つほどならんでました。

 

正面のテーブルに店主のおっちゃんが座って新聞読んでて

「あ、いらっしゃい」

と裏に戻ると、テレビをつけてくれました。

 

「あぁ、町っぽい」

と思うと同時に、初めて入ったのになんか懐かしいような気がしました。

 

江氏が言ってる町的であることって、こういうことじゃないんですけどね(笑)

 

「天ざる、ください」

 

座って注文した後、周りを見渡すと

 

「鴨蕎麦 950円」

「ざるそば 600円」

「親子丼 650円」

 

のメニューが目に入りました。

天ざるとか割り子は外向きのメニューで

中身は普通の地元の食堂でした(笑)

 

店内は行ってからすぐ注文せんと、周り見てから決めたら良かったかな、

なんて少し後悔してると、

 

ジュワッ…パチパチ…

 

天ぷらを揚げる音が聞こえてきます。

美味しそうな期待感をあげる音。

昼下がりなので、僕しかいない空間だから聞こえる料理音。

 

絶対美味しいやつでてくる音やん!

僕の迷った気持ちは確信に変わりました。

 

「おまちどうさまです~」

 

おばちゃんが持ってきた天ざるに胸を膨らませます。

 

 

 

出てきた天ぷらは団子みたいなやつでした。

 

 

 

でも食べたら、大きな海老天はプリプリしていて、食べ応え満点!

インゲンも衣がのっぺりしていて、和菓子のような見た目で綺麗でした。

(どんな褒め方やねん!)

 

蕎麦も手打ちなんやろな、と思うくらい長くて食べづらい(笑)

蕎麦を食べなれてへんから、相当ブサイクな食べ方をしてしまいました。

 

「ごちそうさまでした」

 

1200円支払って退場。

 

最初は「団子みたいな天ぷらやな」とか思ってしまいましたが

食べ終わったら満足で、味だけでなく雰囲気や居心地の良さ、

そういうの含めて、余所行きじゃない町の蕎麦屋てこんなんなんやろな。

 

と改めて勉強なりました。

 

 

 

あ、写真撮らなかったです。すみません(笑)