今日は第二土曜日と14日が重なる貴重な日で泉岳寺講談会に行ってきました。いつものように四十七士のお墓参りしてからの講談会です。

驚いたのは受付で声をかけていた一龍斎貞介さんが、坊主頭のイメージだったのに結構、髪が伸びていたこと。もう前座さんの中でも長い修行期間ですものね。


今回は若手3人に超ベテランがトリを取るスタイル。

前講は神田伯山先生のお弟子さんで神田若乃丞さんが大久保彦左衛門の『将棋の御意見』の抜き読みで、キリッとしたお顔にメリハリの効いた声で期待の前座さんです。

もう一人の前座さんは宝井琴星先生のお弟子さんの優星さん。落ち着いた柔らかな語り口で『千葉周作幼年時代』を読まれました。

そして最初の真打は、宝井梅湯さんから真打で名前が変わった宝井琴凌先生。『加賀騒動 駒ん堂の闇試合』を読まれたのですが、途中にアーノルド・シュワルツェネッガーの話が出たり、ダジャレが入ったりと、古典講談を楽しく聴かせる工夫が感じられました。

続いて一龍斎貞橘先生の『太閤記より大徳寺焼香場』古典講談を独特な声と口調で、羽柴秀吉が信長の葬儀を利用して織田家の中で主導権を握っていく姿を読んだものですが、マクラで話された先生の入門時の頃の講談協会と日本講談協会の軋轢のお話が面白すぎました。なかなか毒舌キャラで怒られてしまわないか心配です(笑)

そしてお仲入りの後は松林伯知先生の『松之助の忠臣蔵』で、活動映画時代に銀幕スタートして何度も忠臣蔵を演じた尾上松之助のお話で、伯知先生が大学4年生からバイトしていた映画専門誌での取材裏話等も交えて、普通の忠臣蔵とは違うお話でした。

そして最後の神田愛山先生の『怪談 小夜衣草紙』。高座に上がる前から笑いを取ってくる大ベテランで、お話は落語や講談でよくある、堅い若旦那が吉原遊びを覚えて柔らかくなってしまうお話ですが、途中から捨てられた花魁が幽霊となって現れるという怪談になっています。愛山先生は間のとり方が大きく聞き手の反応を確かめながら話を進めていく感じで、前半の明るい雰囲気と後半の妖しげな雰囲気が独特だと感じます。見合い相手を探す場面で貞寿先生や伯知先生の名前が出てきたり、怪談話のオチに宝井琴調会長を使うあたりは、流石、ベテラン神田愛山ここにあり!という存在感でした。

この泉岳寺講談会も41回目。講談協会と日本講談協会の垣根を越えて共に手を携えて開催する貴重な講談会が若手前座の修練の場となり、また神田、一龍斎、宝井等の異なるスタイルが見られるありがたい講談会。世話係として一龍斎貞寿先生も来られていらっしゃいました。

6月の小雨の降る泉岳寺講談会をあとにしたのであり





ました。