土曜日のお休みの1日を岐阜から東京まで講談のために出かけてきました。
師と仰ぐ講談師、一龍斎貞寿先生とYoutubeの怪談でも活躍されている怪談師、川奈まり子さんのお二人による『四谷怪談会』の開催をXの告知で知り、早速の予約。ただ夕方からの開催であったので、昼過ぎに講談を聴けるところを調べたところ、神田連雀亭で二ツ目さん3人によるきゃたぴらという会を見つけて、そちらにも行くことにしました。
この日の東京は雨上がりとはいえ、どんよりとした天気。しかし神田の淡路駅を出ると街中から聴こえてくる祭りばやし。ちょうど神田祭の日だったようで、御輿を担いだ人々や祭りのはっぴを着た方々が多く歩いていらっしゃいました。
連雀亭の講談会は紅佳さん、陽乃丸さん、貞司さんの三人で芥川龍之介の短編小説を講談で読んだ紅佳さん、四谷怪談の発端を怖くなるところの直前まで読んだ陽乃丸さん、赤穂義士伝の一番初め、内匠頭切腹を熱演された貞司さん。特に貞司さんは口調や声が師匠の貞心先生によく似ていて、師匠の芸をしっかり受け継いでいると感じました。
会が終わってからは夕方まで神田や秋葉原をぶらぶらして古い橋や鉄道の橋脚なんかを見てきました。それから東京メトロで四谷まで移動し、まだ時間があったので、今度は四谷の街を散策。とてもアップダウンの多い町で、一本奥に入ると車も通れないような細い路地があったり、グニャグニャと路地が曲がっていたりと、Googleマップにお世話になりながら四谷三丁目近辺を歩いてきました。四谷消防署に併設されている消防の情報館にも入り、講談でも出てくる江戸時代の町火消の資料などを拝見しました。
街が少し暗くなり始めた頃に会場の居酒屋『美舟』に向かい、表で待っていると、同じように店の中を伺う男性が。話しかけてみると同じ会に参加される方で、その方は寄席からのハシゴだそうで、同じ講談好きとしてお話できました。
時間になり店の中に入ると、奥に一段高いボックス席があり、そこに高座が設えてありました。高座から一番近い席に陣取り開催を待ちます。15人も入れば一杯の店内には続々と来店され開始時間には追加席も出る満員御礼に。
まず講談師としては正装となる黒紋付に袴という一龍斎貞寿先生と、イメージどうりの黒の着物にオシャレな帯のアクセサリーを付けた川奈まり子さんのフリートークから始まり、以前出版された四谷怪談の本を中心に、講談と歌舞伎、東海道四谷怪談等の違いや四谷怪談の真実性と脚色面、御自身も体験した祟りのお話など、最初から時間オーバーで止まらないフリートークになりました。そして先に川奈まり子さんの実話怪談『眼帯娘』。不思議で気持ち悪い雰囲気の眼帯をした若い娘が現れるお話で、川奈さんらしい不思議な怪談でした。いつもYoutubeで見ている川奈まり子さんの怪談を目の前で見て聴いて、やっぱり生で聴くのは雰囲気があって最高ですね。
お仲入りのあとは講談師、一龍斎貞寿先生の『四谷怪談』の中から『お岩誕生』の一席を。昼間に聴いた陽乃丸さんは伝助の生い立ちとお綱さんと結ばれるまでの怖くないお話でしたか、貞寿先生はガチの怖いやつで小さい子供だったら泣きそうな迫真の表情と声で、目の前でやられるとゾクゾクします。低音の声でビビらせまくった一席が終わるといつもの可愛い声の貞寿先生に戻って、今回の怪談会は終了となります。会場では希望者による打ち上げも行われたのですが、新幹線の時間も迫っていたので、貞寿先生にご挨拶だけして会場を後にしました。
四谷というお話の舞台の街で本格的な怪談を聴ける大変に貴重な体験の一日となりました。