12月10日肝臓病教室が肝炎免疫研究センターで開催され

前半の講師は東邦大学の古田先生でした。
今までは肝炎治療中は食事はどうすればいいのかが
主なテーマでした。しかしここ最近の新薬のおかげで
C型肝炎ウイルスはほとんど駆除できるようになってきました。
ではC型肝炎ウイルス治療後は安心してよいのか。
これが今回のメインのテーマでした。

 

これは私が繰り返し述べてきたこととも重複しますが、

発癌のリスク自体はゼロではないということです。

この点あらためて栄養学の立場からどうするかが説明されました。

(リスクは程度差があるがそれについては説明されていない)
食事や日常生活をどうすればいいかということです
C型肝炎治療でSVRを達成しても発癌リスクは減らず
むしろ加齢リスク、食事リスク、飲酒リスクという要因が
が出てくるということ。
(医学的根拠としてはウイルスの侵食により体内の遺伝子変異エラー
がおこり、それが見えないキズ(繊維化)となって、発癌のもとになる
したがってウイルス駆除だけでは発癌リスクは消えないということ。

繊維化の解消がもっとも重要となる。)

 

個人的意見

これらのリスクは個人の日常生活レベルで改善することは重要。
発癌リスクはゼロにならないまでもかなり逓減させることはできる。
検査も大事ですが、その前に予防措置を取ることが必要。

 

たとえば「ズレ」 「くせ」という食習慣行動がある
ズレとは
①自分の食べた量はそれほどでもないと感ずる摂食量に対するずれ
②自分はめったにお菓子は食べていないと感ずる認識のズレ
くせとは
①「目の前の食べ物につい手が出る」
②「いらいらするとつい食べる」
③「何もしていないとつい食べてしまう」

こういう傾向は確かにありますね。


そこでたとえば油脂の摂りかたをどうするか
これは脂肪肝のもとでもあり脂肪肝は肝臓癌にも
影響があるので最も注意要です。この点いつも言われていることで

 

*同じ肉でも脂肪の含有量が違う
*調理方法でもカロリーが変わる
*食材選びの差

食事の組み合わせ*バランスの取れた食事

オメガ6、オメガ9、オメガ3の脂肪酸のバランス

  

料理の工夫

 

献立  献立の組み合わせ
     野菜は排泄をスムーズにするために
     主菜1品、副菜2品で調整するように。
     (野菜は緑黄色野菜のほかに海草類、キノコ類を)

鉄制限について


C型肝炎ウイルス治療後はいったん中止する。
NASH(非アルコール性肝炎でないかぎり
制限する必要はない。必要以上にたまった場合は
肝硬変の進展、肝癌の発生リスクを高めるために
制限する必要がある。

なお吸収されにくい非ヘム鉄は制限する必要はなし
(納豆、ほうれん草など植物性のもの)

 

まとめ

 

 

私の見解

*適正体重の維持(体重管理、BMIを管理することで肥満を防ぐ。算式は省略)
*内臓脂肪の減少(脂肪食に注意、NASH、脂肪肝は発癌につながる)
*糖代謝(糖分摂取の適正化糖尿病などの合併症リスク回避)
*適正な運動(有酸素運動は組織再生を高める)
*定期的な排泄(便秘の回避で解毒作用を高める)
*十分な睡眠 (肝臓再生の活性化)
*コーヒー(砂糖、ミルクなし)筆者推薦で発癌防止効果あり
:(飲酒は避ける(これは発癌リスクを高める一番の要素)講演では強く推奨はしていない

この肝臓病教室の説明では、具体的な食事メニューも提示されています。
これらの食事メニューを取り入れることが、今後5年、10年先を見ていくことが
必要でしょう。

 

 

後半は溝上先生の講演で「HCV治療における現状と未来」
ということでしたが、特筆すべきは近い将来2から4週間で

完治可能でしかも月1回の注射という新規薬剤が開発中

であること。これは構造タンパクとか非構造タンパクをターゲット

にせずにHCVの5’UTRという部分を標的にするものである

ということが紹介されました。

 

 

 

さらに肝臓ガンの予測マーカーの話もありました。
これは以前に、ご紹介したM2BPGiでこのマーカーは肝生検をおこなわずに
繊維化の度合いを知ることができ、ほぼ肝生検と一致するというもの
しかもこの値が1以内なら5年以内の発ガンはしないという
予測マーカーであるということで
実際の臨床データも提示されていましたがこのマーカーは、
日本では保険適用もされているもののまだ国際的には認められて
いないと言う理由で私の通院先ではこのマーカーはまだ採用されていません。

これが論文として国際的に公認されればかなり有望な予測マーカーと

なりうることは以前に申し上げたとおりです。