何か飲む?
遅れてきた僕に彼女は言った。
シルクのドレスを着た彼女はどこまでも透き通っていて
まるで冬の空の様だった。
じゃあチャイナブルーを。
僕にとってのチャイナブルーはある意味エーテルのように疲れを癒してくれる。

彼女とは今日でお別れだ。
三年と二ヵ月と十二日。
それが僕達の時間。

途方も無い時間と言うわけではないが
かけがえのない時間と呼ぶにはあまりにも稚拙な時間。

最後の一口を飲み終えた後、僕は夏のトナカイの話をした。
明るくも暗くもない、長くもなければ短くもない。
僕らにはぴったりの話だった。

十二時を少し過ぎた辺りに僕らは別れた。
三年と二ヵ月と十三日目のことだ。

それ以来僕は彼女に会っていない。