数学ⅡB、なぜ難しかった? | 酋長のブログ

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日々のあれこれ思うことをつづります。

今年の大学入試センター試験の数学ⅡB、
各予備校が予想平均点を出しているが、
なんと40点前後という、きわめて低いものとなっている。

数学ⅡBはこれまでにも平均点が50点を割ることは何度かあったが、
ここまで低い平均点は過去に記憶にない。
駿台予備校に至っては平均39点という予想である。
ここまでくると、全国統一の試験としては、
果たして適切だったのかどうか疑問になる。

ただ、実際に解いてみたのだが、今年各段に難しかったという印象はなかった。
ではなぜ、このような平均点となってしまったかを、自分なりに考えてみたのだが、
以下の①②③④がその原因かと思う。

①新鮮な「匂い」のする問題
②設問の構成が独立でない
③誘導または問題の流れが適切でない
④単純に難しい


①新鮮な「匂い」のする問題

単純に、問題の傾向というか、「匂い」が全問題とも変化している気がする。
傾向が変わると、受験生は焦るので、難しく感じることがある。
その点を考慮し、入試において傾向が変わる際には、問題自体は若干易しめになることが多いように思うが、
後述するように、問題自体も易しくなったとは言えない気がする。
したがって、受験生にとっては少し厳しい試験になったのかもしれない。


②設問の構成が独立でない

受験生の出来を聞いてみると、
出来ている生徒は出来ており、
出来ていない生徒は出来ていない。
まんべんなく得点分布があるわけでなく、
上と下で出来が分かれているということである。

数学が得意な生徒にとってはさほど問題のない試験であったが、
得意でない生徒にとっては、大きな失点をしてしまう可能性がある試験であったということであろうか。

これは、標準的な設問が「独立」に作られていればそんなことにはならない。
つまり、前の小問が仮に解けなくても、それが次の小問に影響しなければ、
部分部分で得点を重ねやすいということである。
その観点では、第1問〔1〕の三角関数、第2問の微分・積分は、さほど問題なさそうである。

第1問〔1〕の三角関数は、(1)が仮に解けなくても(2)は独立に解答でき、
また(1)のア、イさえ正しく解ければ、(3)は解答できる。
ア、イは易しいと思われるので、独立に得点が重ねられるという意味では、
本問は良問であると感じる。

第2問は(1)の平均変化率で面食らった生徒が多いのではないだろうか。
仮に(1)がわからなくても、すぐに(2)の解答に移行できたかどうかがポイントであるが、
これが可能であれば、第2問もさほど問題はない構成のように思える。

設問構成という意味では、第3問の数列と、第4問のベクトルに問題があるような気がする。

第3問は後述するが、今年の問題の中では一番難しかったのではないかと感じるが、
(1)で解答が止まったり、(2)を完答できなかった生徒が多いのではないだろうか。
そうなると、いずれも(3)以降には進めない構成になっている。

第4問は、(1)前半のエがポイントであったかと感じる。
つまり、ベクトルでOCをaとbで表せたかどうかである。
平行四辺形の辺でなく、対角線がベクトルで設定されているのが難しくしているのではないだろうか。
案外、ここで失点している生徒が多いような気がする。
そうなると(1)後半も、(2)も解答できない。

大問の前半において、後に影響してしまう設問は易しくないといけない。
そうでないと、その後に各分野で学力を測ろうと思っても、
解答すらされなかったら、本当に学力があるかどうかを測れないからである。
上記の第3問、第4問の「序盤戦」はそこまで与しやすいとは思わない。
全国統一の試験であり、各分野のいろいろな学力を測る試験ということを考えると、
本当に適切な「序盤戦」だったかどうか、疑問が残る。


③誘導または問題の流れが適切でない

第2問、最後のニとヌ以降であるが、全く関連がない。
確かに「また」という並列の言葉があるが、せめて改行したり、一行あけたりすべきであると感じる。
仮に改行したとしても、この問題文の流れからすると、
ニのもとで、ヌ以降を考えるのかと受験生は勘違いしてしまいそうである。
しかも、二は微分・積分とは何の関係もない設問である。
確かに、第2問は絶対に微分・積分の知識を問う、ということはなく、他の分野も融合されることは少なくないのであるが、
微分・積分の学力を測る上では、二は不要どころか、邪魔な設問のように思える。

第4問、これもヌネノハヒフは不要であろう。
これまた次のヘホに利用せずに解ける。
これも確かに「上で求めたr,sの値から」という文言があるが、
いささかとってつけた感がある。
ヌネノハヒフは単純な代入作業を課しているだけであり、
面積比を求める学力を問うのであれば、ヌネノハヒフは不要で、これも邪魔な感がある。

とはいえ、これは各大問における最終局面であり、
著しく低い平均点の原因としては、さほど影響はなかったように思う。
ただ、受験生の中にはこのせいで満点が阻止された生徒もいるだろう。


④単純に難しい

第1問〔1〕の(2)、(3)などは①で記したような新鮮な匂いがする。
形にハマった学習しかしていないと、案外解けないかもしれない。
特に(3)は図形的に考察する必要があり、
昨今の生徒は図を描くことを避ける傾向もあり、難しかったかもしれない。
〔2〕も与式第2式の3乗根の処理ができたであろうか。
緊張している状況で、冷静に文字式の対処ができなかった可能性はあったかもしれない。

第2問(1)の平均変化率の設問はこれまた新鮮。
基礎に立ち返った良い問題だとは思うが、
微分・積分のいろいろな学力を測るためにここで出題して良かったかどうかは微妙である。
(1)が解答できなかった各受験生が、面食らわずに(2)に進めていればいいのであるが。
(3)も図形的に処理できたかどうかもあるが、これはセンターの積分の難易度の範囲であろう。

第3問は難しい。
周期性など整数色の強い問題はそれだけで数学が不得意な受験生には難しく感じるかもしれない。
とくに、nを4で割った余りで分類してbnを求めるのは一般的には難しいと感じる。
これができないと(3)以降に進めないのであるから、難易度は適切ではないように思える。
ただ、標準的な学力のある理系の生徒であれば、(4)まで普通に進めそうであるので、
必然的にここで大きな得点差は生まれそうである。

第4問は(2)で、いわゆる係数比較をするという発想が案外難しかったようである。
問われ方が見慣れないので、面食らってしまい解けないというのは、
昨今の受験生の典型であるが、
結果として、そういう意味で難しかったのかもしれない。


いろいろ考えてみると、どの問題もひとクセあり、
時間との勝負という意味で受験生にも焦りが生じると、
対応できずに60分が過ぎてしまった、という生徒が多かったかもしれない。
が、これはある程度、どの試験でもあることであるので、
よく心の準備をしておく必要が特にあった試験だったのかもしれない。

また、後日訂正が入ったが、
訂正が入ろうが入るまいが、第3問オの選択肢は、私は不適切だったと思う。
言いすぎになるかもしれないが、
作問者が遊びすぎたのではないだろうか。
引っかけることなく、普通にn+1、n+2、n+3、n+4、n+5という選択肢で良かったのではないだろうか。
第2問の意表を突く平均変化率の問題や、
③で記したような微妙な問題の流れなども考えると、
個人的には実際どこまで問題が練られていたのか疑問になる今年の数学ⅡBである。