今頃、小橋は武道館のリングに立っているのだろうか。
まだだろうか。
もう終わっただろうか。
とうとう、小橋建太が引退する。
その日を、自室で迎えた。
仕事があるわけでも、
用事があるわけでもない。
ただ、自室にいる。
外が雨だからでもない。
小橋建太は、
最後のリングでも、
ファンを裏切ることなく、
全力で駆け抜けるだろう。
今、自分の頭の中には、
リングで戦う小橋建太の姿がある。
気合を入れて、
ものすごいチョップを連打する。
剛腕をぶして
ラリアットを放つ。
握り拳を作って、
ムーンサルトに飛ぶ。
そんな小橋建太の姿がある。
そんな姿は、
もう見れなくなる。
現在進行形では、
見れなくなる。
ジャンボや三沢さんや、
馬場さんやハンセンと同じく、
過去の映像としてしか、
見れなくなるのである。
小橋は腎臓癌と戦い、
度重なるケガとも戦い、
近年はリタイア状態も長く、
本来の姿でなくなってからは、
もう長い月日が経っている。
自分の中でも、
小橋は小橋でも、
一番好きな全盛期の小橋の姿が、
もう見れないという、
覚悟はすでに、
できていたはずである。
しかし、現実に、
小橋が現役でなくなる、
ということは、
まだ、受け止められては、
いないような気がする。
頭ではわかっていても、
体が、肉が、血が、骨が、
そうは理解してくれていない。
長い歳月が必要なのかもしれない。
今でもよくわからない。
やはり見に行くべきじゃなかったのか、とも思う自分もいる。
ただ、やはり、
動けなかった。
いつか、必ず、
引退試合を見るときが、
来るはずと思うが、
そんな経験がないから、
正直よくわからない。
馬場さん、ジャンボ、三沢さん。
自分の中では、
いまだに現役なのである。
いまだに、
戦い続けている姿がある。
正確には、
リングに生きている姿がある、
という表現になろうか。
おそらく、
小橋も今後そうなるはずである。
そうなると、
引退試合を、
どのように受け止められるのか、
自分はよくわからないのである。
昨日も書いた。
見たい。でも見たくないような。
見なきゃいけない。でも見ちゃいけないような。
そんな気持ちは今日も変わらない。
確かに、今日、小橋は引退するのだろう。
でも、
やはり、
私の中では、
永遠に、リングで戦い続けるものと思うのである。
でも、
今日、引退するんだよ。。。