三冠ヘビー級選手権試合・60分1本勝負
<王者>小橋健太vs三沢光晴<挑戦者>
当時大学生で、バンドで知り合った友達と見に行きました。
2階席でした。
壮絶な試合でした。
年間ベストバウトではなかったでしょうか。
生で観戦し、のちにテレビ放送でまた見て、
たった今、15年ぶりにノーカットで観ました。
42分06秒、最後は三沢のランニングエルボーで、
小橋から三冠を奪回した試合です。
そうでした、三沢のヒジを、小橋が執拗に攻めていました。
15分あたりで場外の小橋に、
三沢がエプロンからダイビングエルボーを放つもかわされ、
三沢のヒジが鉄柵に激突。
この後10分間にわたり、
小橋のヒジ攻めが続く。
アームブリーカーに腕ひしぎ、脇固め、
そして、肩固めっていうのかな、
あの猪木がアンドレを破ったときの腕折り。
執拗に続き、三沢のヒジが折れるんじゃないかと思うぐらい。
この頃、四天王の闘いは、非情な闘いが繰り広げられていたと思う。
さらに、手の内を知り尽くしているから、裏をかいたり、逆をついたり、
それでいて、かわしたような軽さなんてなく、
全てが重い。
なんていうのかな、もちろん相手に与える衝撃も重いんだが、
見ている私たちに与えるインパクトも重い。
説得力がありすぎる。
馬場さんが途中でこういうこと言ってるなあ。
試合が佳境に入った35分~40分ぐらいのときに、
アナウンサーの「なりふりかまわぬ、(両者が)なんとか勝ちたい」
という言葉に対して、馬場さんが、
「いやでもこれはね、なりふりかまわないというもんじゃないですよ。
これは素晴らしいですよ、両者の攻めはね」
そう、必死に戦っているのだが、
ガチャガチャやってるんじゃないんよね。
ひとつひとつの技が実に的確で、説得力があるんです。
いろんな意味で重いんですよ。
ここにショー的要素はもちろんないし、
魅せることを第一に考えてやっているのではなく、
ひたすら一途に為す真剣勝負、
それが素晴らしいから、お客さんは魅せられている。
ガチンコで相手を叩き潰すんではない、
ある意味それ以上の真剣勝負なんです。
この極限の状況下で、こういうものを見せられるのは、
日々の積み重ねの素晴らしさ。
受身であり、スタミナであり、攻めであり、研究であり、
思いであり、言葉にできないものも含めた、そういうもの全て。
僕は15年ぶりに、もちろん結果がわかった上で見たのに、
最後は鳥肌が立つんですよ。
あれだけ攻められた三沢。
当時は友達と三沢を応援していたが、
小橋の攻めに友達が泣きそうな顔して僕の服を引っ張ってくる。
その三沢が、尋常ではない精神力でゾンビのように立ち直る。
そう、この精神力こそ、三沢の最大の強さ。
鶴田、天龍、小橋とはまた違う、三沢の強さ。
三沢は終盤に大技をたたみかける。
タイガースープレックス84、
タイガードライバー91、
タイガースープレックス85、
(アナウンサーは、「85」のことを「84」と言っているが、あれは「85」だと思う)
最後はまさに「乾坤一擲」三沢のランニングエルボー。
三沢の叫びが尋常じゃない。
遂に小橋をマットに沈めた。
このひとつひとつの大技、すべてが重い。
乱発しているわけでは決してない。重い。
見ているこちらにも重くズシンと伝わる。
すさまじい。
この試合を生で観られたことは誇りに思うな。
三沢も小橋も肉体はボロボロ。
こんな試合を続けていては…。
しかし、まさにこの時代は、完熟時代。
あまりの素晴らしさに、解説の馬場さんが泣いたこともあるんだからね。
小橋はもちろん、三沢も、だからこそ、
心の中で、三沢は死なないんだよね。
今も生きてるしね。
そういう意味で、
現実は現実ではないんだよ。
表層に現れるものを塗りたくったって、
ダメだってことがわかる試合でもあると、
久々に見て、そう思いました。