エンド・オブ・ホワイトハウス
原題のオリンポスとはホワイトハウスのことを指す。
プロット的には単独でテロリスト軍団に立ち向かう
「ダイ・ハード」に似ているが、
主人公の過去を描くことで人物設定が事前にしっかり語られる。
このプロローグがジェームズ・ボンドのように派手なアクションはないものの、
じゅうぶんにスリリングな構成で観客を引き込む力を持っている。
また「ダイ・ハード」と違うのは、
マクレーン刑事のように巻き込まれるのではなく、
自ら渦中に飛び込むことだ。
そして、シークレットサービスという立場上、
ホワイトハウスの構造を知る主人公の
“地の利”が有効に使われる。
多勢に無勢でも勝てることに説得力を持たせ、
人物像をリアルにしている点が大きい。
これから観る方のためあまり詳しくはいえないが、
テロリストの要求は奇しくも
現在の世界が抱える大きな問題と直結している。
それは軍事バランスによって平和が保たれているという事実と、
核保有がもたらす危険が表裏一体となっている現状だ。
今、
東アジアに渦巻く剣呑な情勢に対しタイムリーな脚本は、
平和という飴の本質を鋭く突いている。
また、
ホワイトハウスが陥落するという
アメリカにとって最悪のシナリオを容赦なく描写する、
いわばタブーに挑戦した大胆さが功を
奏して娯楽作品としても申し分のない作品に仕上がっている。
韓国絡みのストーリーだが、
日本海をきちんと「Sea of Japan」と発音していて安心した。
(米国政府は公式に「日本海」単独表記を支持している)
本筋外だが、
バニングの妻はたまたまあそこに来たのではなく、
何かを察して自ら駆けつけたのだろうな、きっと。