$鬼瓦権蔵の心の叫び 言葉遊び 道徳


オブリビオン


「そうきたか」と身を乗り出すほどの結末ではなく、

ストーリー的には物足りないが、

それなりに見どころがあり楽しめる作品だ。

“技師49”として無人探査攻撃機

“ドローン”のメンテを主な任務とするジャック・ハーパー。

相変わらずトム・クルーズがサマになる。

この人が出ると言ったら、

恐らくもう他の俳優でのキャスティングは

考えられないのではないか。

そういうスター性、

オーラを持っている。

ハーパーとともに地球最後の監視を行うクルー、

ビクトリアにアンドレア・ライズブローとなれば正に絵になる美男美女。

二人が寝食を共にする地上数千メートルの

ワークタワーのロケーションや

コンピュータなど設備の機能美とともに前半を十分に楽しめる。

ジャックがパトロールに使う小型機

“バブルシップ”も最近の

SF映画の中ではなかなかのグッドデザイン。

ヘリコプターのような機動性と、

戦闘機並みの攻撃力を併せ持つ。

「スター・ウォーズ」のXウィングを思わせる飛びっぷりと、

全方位の敵に対してコクピットが

思わぬ動きを見せるギミックが面白い。

一度乗ってみたいと思わせるVFXはILMが

やったのかと思わせるようなスピードと重量感、

そして質感がある。

ジャックをずっと監視していたというビーチ(モーガン・フリーマン)と、

宇宙船の乗組員ジュリア(オルガ・キュリレンコ)の登場によって、

物語は核心へと迫るのだが、

前述した通り衝撃的といえるほどの暴露はない。

だが、

あることをするために生まれてきた、

運命を背負った人間が自身の出自の

意義を悟るというところはSFの王道ではある。

墜落する宇宙船の船名“オデッセイ”は

「2001年宇宙の旅(2001: A Space Odyssey)」へのオマージュか?

1967年のヒット曲、

プロコル・ハルムの「青い影」の

レコードが擦り切れた音で心を癒すシーンは、

宝物のように集められたほかの小道具とも

相まって青々とした地球を偲ばせる。

ほとんどの衣装や小道具も含めて白を基調としたデザインは、

終わってみれば目に心地いい残像となる。