九月も中旬を過ぎると、

各地から初雁の飛来が報告されます。

その年に初めてやって来る雁は、

秋の深まりを告げる鳥として、

古来より多くの和歌や俳句に詠まれてきました。

中でも、

戦国時代の武将・上杉謙信の次の和歌は有名です。

之は魚津城を攻める軍営の中で詠まれたものです。

もののもふの 

鎧の袖を片しきて 

枕に近き 

初雁の声

「武士の鎧の袖を片方だけ敷いて寝ていると、

枕もとに初雁の声が間近に聞こえることだ」

という意味です。

明日の命も知れぬ陣中で、

鎧を着たままで体を横たえながら、

謙信は初雁の声を聞いているのです。

大切な仕事に臨む時ほど、

周囲の声に耳を澄ませる心のゆとりが必要です。

職場における周囲の声とは、

同僚、

業者、

そしてお客様の声にほかなりません。

周囲の動静に耳を済ませることで、

そこから生まれる

「緊張感」

「責任感」

「連帯感」といったものが、

適度に自分を高揚させてくれるのです。

耳を澄ませる習慣によって、

思わぬ心持ちが得られることでしょう。