清掃会社を営むO氏は二十年以上にわたって、

早朝に社内清掃をしています。

さらに十年前からは、

会社前の道路清掃にも取り組んでいます。

その道路は小学校の通学路になっており、

いつの頃からか、

小学生たちと

「おはよう」と

元気な挨拶を交わすようになりました。

ところが毎日顔を合わせていても、

挨拶をまったくしない少年がいました。

見かねたO氏はその少年に、

「どうして、

おはようと言わないの?」と尋ねました。

すると「ボク言っているよ」と、

意外な言葉が返ってきたのです。

挨拶一つできないなんてと

責め心を抱いていたO氏。

しかし少年は、

挨拶の仕方を誰からも

教えてもらったことがなかったのでした。

自分では挨拶しているつもりでも、

小さな声だったり、

心の中で挨拶をしていたのです。

O氏は「明日から元気な声で挨拶しよう」と

笑顔で伝えました。

その後も挨拶を続ける中で、

少年から元気な挨拶が

返ってくるようになりました。

大人が良き手本となることで、

子供たちに礼儀を伝える大切さを学んだO氏でした。