少年サッカーチームに所属するM君は、

リフティングとドリブルが苦手でした。

チームメイトは日々ドリブルは早くなり、

リフティングの数は増えていきます。

M君は皆より遅れが目に見え、

悔しさも通り過ぎ嫌気がさしていました。

ある日、

コーチに

「リフティング、三〇〇回終わったか」

と聞かれたM君は、

まだ終わっていないにもかかわらず

「はい」と答えました。

するとコーチは、

「そうか」とだけ言ったのです。

練習を終え、

M君が家に電話をして迎えを頼むと、

父はM君の心を見透かしたように、

「走って帰ってこい」と一言告げました。

もう辞めたい>という思いと疲れで、

やっと家にたどり着くと、

ドアの鍵が締まり何の反応もありません。

怒り心頭したM君は、

ドアを蹴破りました。

その時、

後ろから父が現われ

「やる気になれば何でもできる。

走るのも練習だ。甘えるな!」

と叱咤し、

すぐに笑って何事もなかったように

家に入れてくれました。